第501話 日かげ 🪵



 散歩コースの農道に、今日こそ見まいとしても、つい見てしまう一画があります。市街地と住宅街の狭間にぽっかりと空いた一キロ四方ほどの田園地帯。東西の山並みは穏やかで、きちんと区画整理された広い道路沿いにかまぼこ型のビニールハウスが連なり、持ち主の農家さんは夜明けからせっせと温室で動きまわっているようです。


 ところどころに農機具を仕舞っておく納屋があるきり、農地ですから人家は一軒も建っていません。ひときわ大きな総二階の納屋と納屋のあいだに、十基ほどの墓石が見えます。大きい石小さい石いろいろですが、東西を納屋、南方を高い物置に囲まれた十畳ほどの空間は、一日中ほんの一瞬たりとも日がさしこまないように見えます。


 あり余るほど広大な土地があるのに、なにゆえ選りによってこの冷たい扱いを? ここに葬られている先祖たちはなんの罰を受けているの? 最初の衝撃はいつまでも去らず、未来永劫に日かげと思われる寒々しい墓域の横を通るたび、なんとも複雑な思いに駆られます。これなら陽気にからっと乾いた樹木墓のほうがずっといいな~。




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※うわあ、す、すご~いっ!! パソコンデスクの窓の外の気配に首をめぐらせてみてびっくりでした。おびただしい数の鵙が狭庭を埋めていて、枯れた地面をいっせいについばんでいます。そうしているうちにも空からどんどん舞い降りて来るし……うっと息を呑んだ瞬間、だれかが合図したかのように集団で飛び立ちました~。(*'▽')




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