第199話 ヨウコさんの『PERFECT DAYS』 🧹
ときどき思い出したように働く動物的勘によるものか、それとも自分のなかの辻褄合わせ的なでっち上げによるものか……たぶんに後者と思われますが(笑)不思議なめぐり合わせがありました。役所広司さん主演の映画『PERFECT DAYS』VS木内昇さんの短編集『茗荷谷の猫』(解説に曰く「かけがえのない日常の尊重を問う」)。
たまたまバッグに携帯する文庫本の交換時期だったことと、寒波に負けそうな心身に気合を入れるため久しぶりに映画館に足を運んだこと、このふたつの事項にどんな関連があるのかないのか分かりませんが、判で押したような日を繰り返すだけの平凡な日常を抑えた筆致で飄々淡々と描いた作品という点で、驚くほど似ているのです。
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十数年ぶりの再読となる文庫本はさておいて、新作映画はいまのヨウコさんの心の容れ物にぴったりと合致して、陶然とした二時間半をたっぷりと味わって来ました。訳ありらしい(詳しい理由が明かされていない点がすこぶる美味なのですよね🐿️)公衆トイレの清掃作業員の平凡な一日&モノクロームの夢を丁寧に拾ってゆきます。
身体全体を使っての単純労働を支えるのは、読書・音楽・写真・植物などで緻密に構成されているきわめて知的な内面で、そのギャップがこの初老の男性のたまらない魅力になっています。こういう方とならサシでいっぱいもいいな~なんてね。(^-^)
木洩れ日・スカイツリー・首都高・東京湾の交響曲が何度もリフレインして美しい。
追記:幸田文さんの随筆集『木』、たしかに滋味あふれる名文ですが、ヨウコさんには少し退屈でした。客のギターに誘われて『朝日が当たる家』のひと節を歌う石川さゆりさんの居酒屋の女将、さすがの艶&貫禄でした。山田太一さん作『今朝の秋』の杉村春子さんとは趣きの異なる、浅草の夜空を一瞬かすめるすい星みたいな……。
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