第238話 どよ~んなシチュエーション 🦓
前夜たっぷり眠れたわけでもないのに、その晩、ヨウコさんは眠れませんでした。寝入りばな一時間足らずで醒めてからは、無理に目をつぶってもテレビをつけても、また目をつぶって自律式呼吸法や腹式呼吸を繰り返してみても、なんとしても駄目。起きてもいいと決めている午前四時までの時間を数え直す、ため息の重いこと……。
胸の思いが消化できていない証しに、夕食の簡素な食材さえ収めきれない胃腸が、はいはいと手を上げてやたらに存在を主張したがり、男性並みに短くした毛髪の下で頭皮がざわめいています。この調子ではきっと朝まで眠れない。仕方なく起きて牛乳をレンチンで温め、明朝のノルマを稼いでおこうと(笑)パソコンを開きました。
いえ、認めたくないけど分かっていたのです、神経を逆立てているのは、数多くの失敗を含める経験則で培った思考回路を先方に十二分に伝えきれなかった苦い事実。本当はもっと言葉を尽くすべきだったのかも知れないのに、文章も口舌も冗長が苦手なので、ついついショートカットで最短距離を選んだその結果であることへの自責。
📚
明け方近くに小一時間うとうとしてから起き出し、掃除・カクヨム・筋トレ&ヨガのルーティンのあと、いつもどおり朝カフェに行ったのは、このまま家でうつうつとすることで自ら呼びこむにちがいないどよ~んなシチュエーションを避けるためで、鉄アレイを引きずっているような身体を、とにもかくにも移動させたかったのです。
先日来、資料として拝読している本を開き、小説というより科学的な解説が多くて相当な努力を強いられる分厚い文庫を斜めに拾い読みしつつ巻末に急ぐと、はい? こんなところに珠玉の一文がひそんでいました~!! いや、よかった~、途中で投げ出さないで。これだから作者の本音が垣間見える「あとがき」は外せないんだよね。
深刻な社会問題提起の内容だけに新聞連載時から賛否両論が騒がしかったが、本になったこれからはさらに誤解や批判、非難を覚悟せねばならないだろう。だが、利益を追求する企業関係者たちのように多弁ではないがきわめて実直で心の籠った手紙をくださる見知らぬ読者のみなさまがいてくださる限り、わたしは耐えていかれます。
🛁
帰路、ブックオ☆で気楽に読める文庫本を数冊買い求め、帰宅するとすぐ浴槽に湯を張って半身浴を小一時間。じわじわ噴き出て来る汗に心身のデトックスを実感しながら、季節の狭間をなんとか無事にやり過ごせるように、強いてポジティブなことに想像をめぐらせました。なんせ自分の機嫌は自分でなんとかしなきゃなので。(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます