第175話 哀れむな我は孤独になかりけり 🦙
夜行🚊、夜行🚍……いずれも聴いたときに妙にせつない気持ちになるのは、走る窓の向こうがいつも真っ暗だからかも知れません。ヨウコさんの場合は東京で用事を済ませての帰路が多く、イルミネーションが華やかな都会から遠ざかるにつれて闇が増えていき、とうとうなにも見えなくなる……あのさびしさは言い様がありません。
都会人のひとりになった慌ただしい一日を脈絡もなくたどりながら、待つ人も犬もいない家が次第に近づいて来るのを両手を突っ張って拒否したいようなあの気持ち、なんとも侘しかったな~。わたしはあの田舎でひとりで老いていくんだね。暗い窓に映った自分の顔にいまさらながら言い聞かせるのはなかなか骨が折れる作業でした。
👯♀️
四半世紀近いファンとして静かな刑事ドラマとでも名付けたい『相棒』にも好みの回とそうでない回がありまして、ヨウコさんの推しは人情の機微を深く&さりげなく掘りさげた脚本。たとえば霞が関の権力闘争に敗れてホームレスになった男性の短歌「哀れむな 我は孤独になかりけり 空が我が家 歌が我が友」に託した回などの。
先日放送された、青森から集団就職で上京し都会の波に揉まれた末に大胆な詐欺を働くようになった女性の回も同じ系統と思われ、夜行バスに乗り合わせた水谷豊さんの杉下右京さん&中尾ミエさんの老女がどうしようもできない人生の哀愁を描いていました。東京から十時間の夜行バス、ヨウコさんも右京さんと隣り合わせたいです。
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