第193話 フェルメールの鳥籠のなぞ 🐦



 海外発のテレビ番組で、十七世紀のオランダの画家ヨハネス・フェルメールによる『中断された音楽の稽古』の画面左隅に見える鳥籠は、のちになにものかの手で描き加えられたものという衝撃的な話を知り、いやはや、いやはやと思ったヨウコさん。


 この時代の音楽は官能と結びつけてとらえられ、とりわけデュエットは男女の性的な関係の隠喩だったそうですから、加筆の事実を知らなかった後世の評論家たちは、どんなもっともらしい論説を掲げて来たのでしょう。思えば滑稽なことですよね~。



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 この一件は史料と呼ばれるものにも当てはまりそうだねとヨウコさんは考えます。もっぱらだれかの筆で記されたものであってみれば、自ずから取捨選択が強いられ、ときには多少or相当な誇張が介在することが容易に推察されます。ゆえに、歴史小説というリノベーションは、作者の自在に委ねられてなんの不都合もないのですよね。


 話は飛びますが、近代を舞台にした大河小説に白樺派の作家・武者小路実篤さんが開いた理想郷「新しき村」の創設とその後の顛末が詳細に語られています。で、思い当たるのは似た活動☆◇△シズムのこと。知人が影響を受けた一時期がありますが、私有財産を全額寄付させる言葉の魔力について書かれたこと&書かれざること……。




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