第144話 ヨウシさん考 🏡



 そのむかし、かわいらしい文鳥と一緒に暮らした歳月があります。(^。^)y-.。o○

 薄紅のくちばし&丸い目は、下町のアパート住まいのかけがえのない親友でした。


 鳥籠から出してやると、ぴょこんと人さし指に飛び乗り、トントントントンと卓を打つリズムに乗って、ピーヒュルルルルル、ご機嫌に鳴きながらスキップしました。


 しばらくあそぶと、鳴き声がグルグルブチブチと濁って来ます。頃合いを見て籠にもどしてやると、ああ面白かったというように水を飲んだり小松菜を食べたり……。



      🐦



 あるとき、駅前の小鳥屋さんで求めて来た相棒にヨウシと名づけました。つがいというわけですが、鳥の世界にも先輩後輩があるらしく、妻が威張って夫は控えめで……。


 気のゆるみというのは恐ろしいものですね。いつもは注意しているのに、うっかり窓を開けたまま鳥籠の掃除をしていて、気づくと二羽そろって飛び去っていました。


 悲嘆に暮れ、昼も夜も窓を開け放しておいたところ、なんとなんと三日目の夕方、空の一点がにわかに近づいたと思ったら、何事もなさげな鳥夫妻のご帰還でした。


 

      🏜️



 ある本で、他家から養子に来た男性が遠慮ばかりの一生を送ったという話を読み、あのときヤンチャ妻を説得して帰ったのはヨウシだったのではと思い当たりました。


 知人宅のお婿さんは老いても強権を握る舅に追われて庭のプレハブに住み、さらに舅亡きあとは父の気風を受け継ぐ妻に圧迫されつづけたとか……。(´;ω;`)ウゥゥ


 どういうわけか、姑の嫁いびりに比べ舅の婿いびりはあまり話題になりませんが、なかにはかなり深刻なケースもありそうと、あらためて思いを馳せたしだいです。




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