第19話

葛蔓 山紫陽花を 取り込みて

隠れて咲ける 蒼き悲しみ


葛の蔓に巻き取られ、いつもは姿の見えないヤマアジサイが、ひっそり咲いている。

葛蔓の影に隠れてはいても、青い花房が咲くと、そこにあると知れてしまう。

どこか悲しげな、紫色を帯びた青である。

どんなに平気なフリをして心の奥に隠していても、貴方と別れた悲しみは、不意に顔を覗かせて。どうにも隠しきることは出来ないのと同じ様に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る