第13話

初夏(はつなつ)の 山辺に咲ける ヤマボウシ 四方を照らす 白き花塊


初夏の山道に、ヤマボウシが並んで咲いている。暗く茂る初夏の峠道。辺りを照らす様な見事な白い花の塊である。

しかし花弁ではなく、アジサイの様にガクが発達したものらしい。

本物の花ではない、作り物の美しさ。まさに花魁である。

貴方のくれた沢山の美しい約束も、何一つ叶えられることはなく。全て偽りだったのだろうか。

この花も中心は本物であるように、あの言葉の中には、真実もあったであろうか。


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