第44話「磁力」

「俺に20億の賞金?何言ってんだてめぇ?」


「はて?」という様な表情を浮かべながらスキンヘッド男に向かって、そう言った焔火。


「何言ってんだって……分かんねぇか?つまりよぉ……殺人ゲームのプレイヤーは、お前を殺せば20億手に入る

って事だよ」


「……どうしてそんな事になってんだよ?」


「さあな~、がいきなり決め出したんだよ」


「あの女……翡翠碧とかいう奴か?」


「そうそう、詳しいな」


「ふ~……ったく……恐ろしい女だな……高校生に賞金掛けるなんてよ……」


思わずタメ息を漏らした焔火。そしてその一方でスキンヘッド男は、焔火に向かって身構えた。


「さてと!お前を殺して20億!そしてゲームを達成して30億!合計50億!50年くらいは遊んで暮らせるぜぇぇ!!!」


そう叫びながらスキンヘッド男は、右手を焔火の方へと向けた。すると、どこからともなく集まってきたボルト、ナット、看板、といった無数の金属や鉄が焔火の方へと飛んでいった。


「おっと」


焔火は両手から炎を噴射し、飛んできた物全てを焼き付くした。するとそれを見ていたスキンヘッド男は、パチパチと焔火に向かって拍手をした。


「ヒュ~!!やるなぁ!!そういえばお前、炎使いだったっけか!?」


「ああ、そういうお前は……磁力使い……ってとこか?」


「ああ……その通り、俺の能力は、磁力を操ってこの世に存在するありとあらゆる金属や鉄を自在に操る事だ」


「へぇ……そりゃまた中々便利そうな能力だな」


「へっ、だろ?」


スキンヘッド男はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。そして次の瞬間、フワーッとその場から宙に浮き出した。


「!?」


驚いた焔火。そしてスキンヘッド男は、そんな焔火を見てニヤニヤと笑いながら空中で足を組んで口を開いた。


「驚いたか?俺は磁力を使って自分の体を浮かせる事が出来るんだ」


スキンヘッド男は、そう説明した直後に磁力を使って街中から鉄の塊やパイプなどを引き寄せて、それを焔火に向かって放った。


「おっと!」


焔火は、先程の様に両手から炎を噴射し、スキンヘッド男が投げてきた物を全て炎で焼き尽くした。そしてそのまま炎をスキンヘッド男に向かって放った。


「磁気バリア!!」


スキンヘッド男が叫んだ瞬間、スキンヘッド男の周りに強力な磁力の壁が出現した。そして焔火が放った炎は、その壁に接触した瞬間に消滅した。


「何!?」


驚いた焔火。


「へっ!この磁気バリアはあらゆる攻撃を防ぐぜ!!」


「まじかよ……」


(あの磁気バリアをどうやって攻略するか……)焔火がそんな事を考えていると、スキンヘッド男は、右手を焔火に向けた。


「死ねぇぇぇ!!!磁気ボール!!!」


スキンヘッド男がそう叫ぶと、スキンヘッド男の手からバスケットボールサイズの磁気で作られたボールが発射された。


「うおっ!?」


焔火は、咄嗟にバク転してそのボールをかわした。


ズドオオオオオン!!!!


磁気ボールは、地面に直撃し、大きなクレーターを作った。


「おいおい……何て威力だよ」


焔火は磁気ボールの威力に若干戦慄した。すると、スキンヘッド男は不敵な笑みを浮かべながら再び焔火の方へと右手を向けた。


「さぁてと……次は外さねぇぜ?」


スキンヘッド男は、そう言うと再び右手から磁気ボールを発射した。


「うおっ!?また来んのかよ!?」


焔火は、咄嗟に横にローリングして、飛んできた磁気ボールをかわした。


ズドオオオオオン!!!!


磁気ボールは、先程の様に地面に直撃し、大きなクレーターを作った。


「避けんなやぁぁぁぁ!!!当たれやぁぁぁぁ!!!」


スキンヘッド男は、焔火に向かってブチ切れた。


「馬鹿かてめぇは!?誰が当たるかっつーんだよ!!」


焔火は、スキンヘッド男に向かって、そう叫びながら両足から炎を噴射し、空中にいるスキンヘッド男の方へと飛んでいった。


「何!?お前も飛べんのか!?」


いきなり飛び出した焔火に驚いたスキンヘッド男。そして一方で焔火は右脚に炎を纏い、スキンヘッド男に蹴りを放とうとした。


「おっと!!!磁気バリア!!!」


スキンヘッド男は、蹴りを防ごうと咄嗟にバリアを展開した。


「うるぁぁぁぁ!!!喰らいやがれ!!!"紅蓮脚"!!!」


ボワドグシャアァァァァァン!!!!


「ごはぁ!!??」


焔火の蹴りは、磁気バリアを破り、スキンヘッド男の胴体に直撃した。


ヒュ~


ズガァァァァァンッ!!!


蹴りを喰らったスキンヘッド男は地面に物凄いスピードで落下した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る