この夏、いちばん正しい読書感想文の書き方

湾多珠巳

The most appropriate approach for the summer book report 1

6月3日


サブスクサービス「夏の一冊」のご案内


お子様の読書感想文対策もこれで完璧! 全く新しいスタイルの子供用Web図書サブスクサービス!


 本サービスは、常に新しい創造教育を模索している、わがカケヨメ学習機構がこのたび立ち上げた、読書ガイダンスと作文教育をセットにしたサブスクリプション家庭配信です。現在小4から小6のお子様がいらっしゃるご家庭で、定期的なネット利用が可能な方であれば、どなたさまでも申し込めます。

 ご契約いただいたお客様には、当社と契約した人気の児童小説作家の新作購読権と、その正しい読み取り方の個別指南サービス受講権、及び読書感想文の添削指導受講権がオンライン上で付与されます。


 仮にお子様名義でご契約いただきますと:


・当社Webページ上だけで読める、小学生向け児童小説の本文が、お手元のタブレット・スマホ等で閲読できます。読書ペースは各自で任意に設定でき、日々の読書量を自己チェックするメニューも専用ブラウザに備えております。親御さんが「もう読んだの?」とイライラしながらお子様に問いただす必要は、この夏からはありません。


・当社が契約している児童小説家は、いずれも人気沸騰中の話題の作家さんです。詳細につきましては、別の告知にて改めてご紹介いたします。


・本を読んでも中身を理解しているかどうかは別の問題です。お子様本人の理解を助ける意味で、ご選択いただいた作品のあらすじ、人物の行動、その意味、等々を、折りに触れてクイズ形式でチェックする「読み取り指南」を行っています。「長い話をがんばって読んだけれども、よくわからなかった」というがっかりなことは、金輪際起こり得ません。


・最大の難関、読書感想文。夏休みの宿題の鬼門とも言うべきこの課題を、本社は個別指導に近い形でサポートします。誤字脱字その他の日本語のチェックはもちろんのこと、「最初の一行が書けない」お子様のために、究極のレスキューメニューもご用意。詳細は個別にご相談いただきますが、「どこをどうやっても全く書けない」という事態だけは、まず避けられると期待していただいて結構です。



 夏休みの最後の三日間はパパとママがつきっきり!

 それでも埒が明かなくて、高額な家庭教師を急きょ召喚!

 そんなドタバタとはもうおさらばです!

 サービス体験コーナー設置中! ご興味を持たれた方は、こちらをクリック




6月8日


サブスクサービス「夏の一冊」、文科省「読書感想文コンクール」とのリンクが正式決定!


 先日告知いたしました弊社のサブスクサービス「夏の一冊」が、このたび正式に、文部科学省の新時代読書推進プロジェクトのモデル事業の認可を受けました。

 新時代読書推進プロジェクトは、ネット時代における子供の読解力と作文力の涵養を目的とした国の教育プログラムで、民間事業体の参加にあたっては、

  ・読書指導の双方向性

  ・作文指導の個別対応性

  ・事業展開の安定性・将来性

などなどを厳格に審査し、「国内のモデル実践校(全国教育大学の付属小中高校など)と同程度か、それに準じるレベル」の指導が可能である事業にのみ、認可が下されることになっています。

 このたび、弊社の事業が文科省とのパートナーシップを確立いたしましたことで、本サービスは正式に「全国・真夏の読書感想文コンクール」とも提携することとなりました。これはつまり、「夏の一冊」を、そのまま読書感想文コンクール対策の学習メニューとしてもお使いいただけるということです。

 コンクール実行委員会からも近日中にアナウンスが発せられると思いますが、本年度の「全国・真夏の読書感想文コンクール」では、従来の応募枠とは別に、〝「夏の一冊」部門〟が特別枠で設置されることが内定しています。賞の授与等も、この部門独自での柔軟なあり方を模索すべく、審議中とのこと。


 中央省庁とも連携した事業展開のもと、「夏の一冊」はもはや単なる宿題お助けサービスにとどまらない家庭教育オプションとして、内外の注目を集めています。現在、早期契約割引サービスも実施中。この機会にぜひ、本サービスのご利用をご検討ください。




6月13日


サブスクサービス「夏の一冊」  作品執筆者のご紹介


 今回、書下ろし新作を担当してくださる作家の方々のプロフィールを紹介いたします(順不同)。


出藻鹿でもしかイワン

「ヴァンパイア、歯医者に行く」でデビュー。道断社「吸血学習塾」シリーズで人気沸騰中。コメディ・ホラーと日常系ミステリーの絶妙なブレンドが持ち味。趣味は献血。


多良たらレバノン

Web小説シリーズ「転生したら葦(あし)でした 異世界〝コギト・エルゴ・スム〟 湖の妖精にデカルトをレクチャーしたら、オークがカント、ミノがヘーゲル、サキュパスがニーチェに進化して?」でブレイク。文系大学生から熱狂的な支持を集め、現在はライトノベルの各レーベルで「哲人戦隊ハイ・デッガー」「男の娘カフェ『Show・ぺん・はうあ』にようこそ!」他を執筆中。趣味は漬物作り。


・dobin666Re

「九歳から始める計画殺人」で日本本格ホラースプラッタ大賞佳作入選。続く「死堂しどう斬香きりか11歳が教室内の首級三十三をコンプリートするまで」で一部マニアの絶大な支持を得、現在隔月刊「サイコ・ラブ」連載中の「シリアルキラー完全育成マニュアル」は、第一巻が早くも十四ヶ国で二千万部のメガヒット。趣味はドミノ倒し。


・ぷんすか

この道三十五年のベテランライター。別名義の週刊誌記事、漫画原作、業界誌コラム、各種参考書・問題集の記事など、仕事歴は多彩。小説のゴーストライターも、時代小説、ライトノベル、恋愛ものなど、何十件か手がけているのだけれども、詳細は秘密とのこと。趣味は通行人観察。


 先生方の作品は、7月20日以降にサブスクサービス「夏の一冊」上で閲読できます。雰囲気だけでも知りたい、という方のためには、さわりの部分を以下のリンクで紹介しています。


  リンク → 1 2 3 4




6月20日


ヨミカキ新聞朝刊教育欄


やまがらすの連載エッセイ

 やわらか教育論議あとらんだむ「AI vs 学校教師 (3)読書感想文いまむかし」


 前回、前々回で見てきたように、ネット環境の進化と言語生成AIの登場により、教育現場は現在大きな課題に直面している。とりわけ大変なことになっているのが作文教育の分野で、なかでも毎年夏の恒例行事となっている読書感想文をめぐっての混乱ぶりは、特筆に値する。

  (中略)

 意欲的な試みとして耳目を集めているものに、カケヨメ学習機構の「夏の一冊」なるサブスクサービスがある。表向き、読書感想文対策の家庭学習メニューとして、読み取りと作文とをオンライン上で個別に指南する、という内容で、その点は特に奇抜でもないのだが、注目したいのは、「夏の一冊」独自に新作の児童文学をまるまる発注していること。新作の文章は専用サイトの中でしか閲読ができず、ビューワーの仕様で文章を外部にコピペすることもできない。外部のAIに読みこまれる危険は非常に少なく、加えて各作品が完結するのは八月半ばとのことから、第三勢力の宿題請負サービス業者が対応するにはかなりコストが高くつき、「夏の一冊」を経由した感想文なら学校側としても安心して受理できる……ということのようだ。

 このやり方だと、とりあえずここまでに論じてきた「作文現場でのAI問題」があらかたクリアできている。少なくとも、そう見える。

 一方で、当社の作文指南は、「超初心者向け」ともなると、ほとんどメニュー選択だけで八百字の原稿が書き上がってしまうぐらいに〝優秀〟らしく、それらの作業は少なからず日本語生成プログラムによるものだけに、これはこれでやはりAIの濫用にあたるのではとの疑念がぬぐえない。といって、きっかけを与えてやらないことには一文字も書けないタイプの子供もいるわけで、結局問題は堂々巡りになるようだ。

 サブスクサービスのためだけに新進の作家を何人も登用したのは、AIの問題と別の意味で興味深いことと言えるかも知れない。すべてがWeb上で完結するネットサービスならではの、フットワークの軽さがうまく作用したビジネスとも評価できよう。

 とはいえ、先日明らかになった執筆陣のセンセイがた、聞いた話では近作の仕上げにかなり切羽詰まっている時期のはずで、そもそも揃って締切破りの常連でいらっしゃるとの噂も。

 カケヨメ学習機構は官僚からの転身組が起業したものだとも聞いた。ここまでは目の醒めるようなビジネスの進展ぶりを見せてくれているが、果たして彼らは「締切とは破られるものだ」という、この業界の黄金則を十二分に理解できているのかどうか。

 とまれ、新進サブスクサービスの行く末に幸あらんことを祈ろう。



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