第24話:魔剣乱舞
僕が予定していたよりも早くお姉さんたちが動けなくなってしまった。
深雪お姉さんと月奈お姉さんはまだ動けるけれど、3人の女の子たちは、指1本動かせないくらいの痛みに苦しんでいる。
レベルアップ痛が直ぐに来てくれるのならこんな事にはならない。
レベルアップ痛が始まるのは、5つ以上のレベルアップを1時間以内にした時だけ、最初のレベルアップから1時間後に現れる。
その痛みは、1時間以内に6つ、7つ、8つとレベルアップが多いほど痛くなるので、今回のように1時間で10もレベルアップするとすさまじく痛くなる。
深雪お姉さんと月奈お姉さんもそれなりにレベルが上がっていたけれど、たくさんの亜竜の止めを刺しても6つしかレベルアップしなかった。
レベルアップ痛の中では1番マシな痛みだ。
桜、葵、ルナの3人はまだまだレベルが低かったから、それほど亜竜を倒していないのに10もレベルアップしてしまった。
身動きできないくらいの激痛に苦しんでいるから、これ以上無理はさせられない。
地下46階で休むしかないので、僕は自分だけで練習する。
別にやらなくても良いのだけれど、お父さんとお母さんが先にS級ダンジョンで宝物を見つけてしまい、宿題が間に合わないと思うとじっとしていられない。
舞うように剣を振るって地亜竜を軽く倒す。
ビッグミノタウロスの集団も出てくるが相手にならない。
1000を超えるナイトスケルトンやコマンダーゴブリンなど相手にもならない。
それほど強いモンスターを倒してもレベルアップするだけ。
トレジャーハンターの大切な宝物はでてこない。
もっと深く、ダンジョンが広がっている場所でないと宝物がない。
単なる憂さ晴らしのために大切な剣舞を他人に見せたりしない。
最速最短の剣と身のこなしが、舞っているように見えるだけで剣舞ではない。
ライブ配信で騒いでいる人達が間違っているだけ。
それに、僕の個人的なアカウントでライブ配信している訳じゃない。
お姉さんたちを動けなくしてしまった責任を取るために、月奈お姉さんのパーティー用ドローンで発信しているだけ。
僕の個人用ドローンには、休んでいるお姉さんたちを撮ってもらっている。
家の最新鋭ドローンには特別な武装がしてあるそうだ。
僕はまだ危険になった事がないので、どのような機能が有るのか知らない。
悪い人が近づいて来たら、僕だけでなく家にも知らせを入れてくれる。
おそってきたら情け容赦のない攻撃をしてくれる。
並のA級冒険者なら簡単に殺してしまうだけの武装があるとしか知らない。
「もういいかな、見られていると思うと恥ずかしい」
パーティー用ドローンに話しかけるけれど、まだ許してくれそうにない。
お姉さんたちのファンが怖いのは分かっている。
ここでちゃんとやっておかないと、家に迷惑をかけてしまう。
お父さんやお母さん、おじさんおばさんはだいじょうぶだけれど、従弟妹たちがトレジャーハンターデビューする時にじゃまされると困る。
「お姉さんたちがライブ配信できなくなった穴埋めはするよ、満足したら教えて」
☆世界的アイドル冒険者、鈴木深雪のライブ動画
藤河太郎:美しい、最速最強の剣はこれほど美しいのか?!
Benno:それは違い、竜也が最速最強ではない……
雷伝五郎:そうだよな、竜也はまだデビューして半年もたたない小学生……
Rafael:だったら最強は誰なんだ?
ノンバア:私も知りたい。
ゆうご:タカラブネファミリーの名簿を見れば分かる。
Benno:それが面倒臭い、ものぐさな奴らが多いのだ。
ゆうご:それくらいの手間も惜しむのか?
Benno:ああ、余計な事には指1本動かさない。
豚キムチ:悔しいが、美しい、竜也の剣舞は美しい!
みゆき命:みゆき姫が竜也に学んだら、こんなに美しく舞えるようになるのか!
Rafael:こんなに美しく舞うみゆき姫を見る事ができるのか?
Benno:もうタカラブネファミリーが最強で良いのだな?
豚キムチ:みゆき姫とつきな姫の姉妹剣舞、尊い!
みゆき命:3人娘の剣舞、尊い!
豚キムチ:5人チームの剣舞、尊い!
みゆき命:それぞれのソロパートとチーム演舞、見てみたい!
Rafael:バカは放っておいて、さっき話だがタカラブネファミリー最強は誰なんだ?
雷伝五郎:竜也の父親、宝船鷹雄だろう?
Benno:弟の宝船光司こそ最強という説があったぞ。
藤河太郎:次弟の宝船篤人こそ真の強者という書き込みがあったぞ。
Benno:宝船鷹雄の妻、宝船美代が家を仕切っているという説もあるが……
雷伝五郎:いや、それなら祖母の宝船聖子こそ家を仕切っているだろう!
Rafael:祖母が最強なのか、だったら祖父はどうなんだ?
Benno:祖父の宝船虎太こそダンジョン黎明期や混乱期に活躍した人だ。
Rafael:だったら宝船虎太が最強なのだろう?
藤河太郎:だが、宝船聖子は虎太に出会うまで自衛隊にいた。
雷伝五郎:自衛隊や機動隊がダンジョンに入ってモンスターを倒していた時期か!
Benno:宝船聖子がタカラブネファミリー最強でかまわないか?
Kenneth:ひっそりとただいま……
★★★★★★
作者です。
作品を読んでいただきありがとうございます。
作品フォローや☆評価が作者のモチベーションに繋がります。
作品フォローと☆評価をお願いします。
<(_ _)>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます