第30話 撮影会
楓美子がこちらに近づいてくるが、どうも様子がおかしい。彼女は砂の壁で車の動きを止めた後、こちらを睨みながらチェーンを振り回している。以前の凶悪な雰囲気を感じる。彼女は今回会社の人間としてミッションに参加しているようだ。指令は会社の人間の誰かが出しているのだろう。どのような事情かは知らないが、戦うしかなさそうだ。僕らは車を降りて応戦した。
楓美子は歩いてこちらに近づいてきた。するとソーニャが彼女の前に立ちはだかった。楓美子は腰に巻いたチェーンを外し、両手に巻いた。その手でソーニャの顔面に鋭いパンチを放った。ソーニャはバク転して後ろに逸れた。やはり彼女は元体操の強化選手だったのだ。身のこなし、反射神経も普通のそれではない。
ソーニャは手を手刀の形にして楓美子に切りつけた。彼女の頬が切れて血液がしずくになって落ちた。ソーニャの手のひらはカミソリのように鋭い。
ソーニャが連続で手刀をかざした。あまりの速さに楓美子はガードするのが精一杯だ。ソーニャの手刀で彼女のボンテージスーツがボロボロに崩れ落ちていく。彼女はかろうじて胸の上に巻き付いた一枚の布切れを片手で押さえた。僕は夢中になってカメラのシャッターを押した。
楓美子は少し機嫌が悪くなったようだ。ソーニャを睨み付けると、手に巻いたチェーンを解いて両手でチェーンを握った。ゆっくりとソーニャに近づくとソーニャの手刀をチェーンで受け止めた。そのままチェーンをソーニャの体にかけてチェーンで締め上げた。ソーニャは縛られて体の自由が取れなくなった。
キレてしまった楓美子は仕返しとばかりにソーニャのボディコンスーツを上半身から剥いでしまった。その上からチェーンを巻いて縛り上げた。チェーンを巻かれたソーニャは完全に身動きが取れない。この勝負は楓美子の勝利だ。僕は夢中になってカメラのシャッターを押し続けた。
ガクっ、突然楓美子は首をうなだれてひざまずいてしまった。次の瞬間、目を覚ました楓美子は自分たちの状況に気づくとおかしな声を出した。
「はにゃ、なんだこれ?」、彼女の表情が普通に戻っている。それから自分の服装に気付くと、ソーニャに巻いたチェーンを慌てて剥ぎ取り今度は自分の体に巻いてチェーンの服を作った。楓美子の防御力が上がった。
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