危険とのニアミス
小学校、中学校の頃、北海道の北見という町に住んでいた。
祖父母はすぐ隣町、今では北見の一部になったが当時は留辺蘂町という所だった。
中学生になり、ふと一人で祖父母の家に遊びに行った帰りのことである。
今まで留辺蘂までしか汽車で移動したことがなかったので、試しに北見に戻る方向と反対の汽車に乗ってみた。
数駅行くと金華という駅に着いた。
無人の寂しい駅であるが、駅を出た目の前がもう山になっていて、ちょっと冒険気分で金華で降りた。
降りて少し歩くと山の中腹まで登る階段のある神社をみつけた。
氏神様なのだろう、そこは金華神社という名前だった。
参拝だけでもしていこうと階段を登っていくと小さな祠があるだけの神社だった。
祠の中にはおそらく昭和天皇の若い頃の写真が貼られていた。
当時元号は平成になっていたが、数年前までは昭和だったため天皇陛下と書かれた写真でも現天皇陛下ではないというのはすぐにわかった。
参拝を終えて下に戻り、まだ先に行こうと当初考えていたのだが、何故だか胸騒ぎがして駅に引き返して北見へ戻ることとした。
さて、ここまで何も変なことはなかったのだが、数年して知ったことがある。
金華神社のもう少し先に行くと、あの常紋トンネルの慰霊碑があるのだ。
ご存知の方も少なくはないかと思うが、北海道でも有数の心霊スポットであり、トンネルを掘る際にかなりの人が人柱となりトンネルの中に埋め込まれたという、いわく付きと言うよりは忌み地である。
もう少しでそこに無自覚に行ってしまうところだった。
いや、呼ばれていたのかもしれない。
あそこで神社に参拝に行かなかったらきっとそのまま進んでいただろう。
本能で避けたのか、神社のおかげで避けたのかわからないが、やっぱり危ういところには近づかない事が一番である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます