犬と青い鳥と烙印

「そこの量産型黒髪ロング童顔巨乳美少女を連れたモブ顔の旅のお方、どうかお助け下さい」


「俺に助けを求めているのに同行者の容姿の説明から入るのは如何なものかとも思うが、どうした?慌てふためいて誰かに追われている様子だが」


「ああっ!!もう追いつかれてしまったのかっ。あの犬たちはツイッタランドを支配する魔王イーロン・ナントカの猟犬、その後ろからは犬使いまでも、助けて……」


……咆哮……剣戟……両断……悲鳴……刺突……静寂……


「手こずらせやがってなんなんだこいつらは?犬は犬で可愛い顔して貪婪に肉を食いちぎってくるし、犬使いどもは揃いも揃って額に×印の烙印を捺してやがるぞ」


「犬使い、彼らは魔王の血の統治を受け入れたツイッタランドの住民の成れの果て、いえ私の村(クラスタ)の隣人たちなのです。村を逃げ出した裏切者の私を追い詰めて吊るすつもりだったのでしょう」


「あんたどうして村から逃げる気になったんだ」


「この子を助けたかったんです。私の幼いころからずっと飼っていたんですよ。この子を犬使いたちに差し出すのは忍びなくて」


「青い小鳥か、ついこの間まではうるさいほどピーチクパーチク空を飛びまわっていたと言うのに、今じゃそこら中に仕掛けられた網で姿を見る事も減ったな。あれも犬使いの仕業だったのか」


「ええ、もうここでは生きていけません。このまま辺境を歩き続け大河を渡った先にスレッZooと言う楽園があると聞きました。そこでは目に入るものすべてが煌びやか、人々は穏やかでツイッタランドのような争いごとはないのだとか。そこでならこの青い鳥ものびやかに羽ばたけるに違いありません。私たちはそこに向かってみます。AI生成美少女を連れた旅の方もご一緒しませんか」


「……おいちょっと待てって、辺境を行くのは良いがそのスレッZooにしたって、魔王マーク・アノソレバーグに統治された王国で住民は【真の名】を魔王に差し出さなくては生きていけないって話なんだぜ」


「……………………」


「どうした、黙りこくるなよ。ショックがデカ過ぎたのは解るけどさ?」


「そら……そら……」


「だから虚ろな表情で昏い空を見上げるのは止めろって、空なんか見てももう青い鳥は……うわわぁぁ!!天頂に巨大な魔王の烙印が浮かんでやがる、いったい何が始まるんだ?!」


と言うポストアポカリプスファンタジー。












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