Day24 ビニールプール
「おにい! プール! おっきいねえ!」
就学するまでは、プールといえばビニールプールだったという小学二年生の妹。彼女が知っている、一番おおきなプールは小学校のプールなのだそうだ。おかげで、ごくふつうの市民プールに大はしゃぎである。
「水はいるまえにちゃんと準備運動してな」
「はーい!」
しかしオレ、なんでプールなんてきてんだろう。超インドアなのに。冷房のきいた部屋でゴロゴロしてたいのに。
「おにいもいっしょにやろ」
「はいはい」
まあ、親の再婚によって最近できたばかりの妹にせがまれたからなんだけども。
この、好奇心に輝いたくりくりとした目で見られると、ついなんでもいうことを聞いてやりたくなってしまう。
兄になってはじめての夏。
「おにい! もうはいっていい?」
「まだまだ。ちゃんと足のすじ伸ばさないと。ほら、オレのマネして」
「えー、もう、しょうがないなあ」
なんでオレがわがままいってるみたいになってんだろう……。
まあいいか。楽しそうだし。
もしかしてこれが、世間でいうところのシスコンてやつなのかとふと思う、高校最後の夏休みである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます