Day22 賑わい
最後の営業日。災害レベルの暑さのなか、多くのお客がつめかけた。これほどの賑わいを見せたのは、おそらく開店以来だ。
閉店を惜しむ声もたくさん寄せられた。ありがたく思うと同時に、わずかな怒りをおぼえる。それほど惜しんでくれるのなら、なぜ日常的に利用してくれなかったのかと。
厳しい世のなかだ。みんな多かれ少なかれなにかを削らなければ生きていけない。
理解はしている。十分にわかっているのだ。それでも、自分の店が『削られる側』にいたことが、やっぱりかなしいし、悔しい。
今日の賑わいも、閉店という特別なイベントだからだと思うと、なんだかやりきれない気持ちになってしまう——なんて腐っていては、これまで人生をともにしてきたこの店に申しわけないな。
閉店まであと二時間。
すこしでも、この店が誰かの思い出に残ってくれますように。
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