Day13 流しそうめん

 夏といえば海、スイカ、かき氷、お祭り、肝だめし、虫とり、プール、冷やし中華、そうめん……


「流しそうめん!」

「あ? なんだ急に」

「いや、夏といえばなにかな〜と思ってさ。海水浴とか肝だめしとかお祭りとか、たいていのことはやってきたと思うんだけど、そういえば流しそうめんてやったことないなーって」

「そういうことなら俺にまかせとけ」

「え」

「まずは竹の調達からだな」


 どうやらうちの彼氏は、流しそうめんに一家言持つ男だったらしい。

 市販の流しそうめん機など邪道であると、竹の調達、加工、組み立てと、いつのまにやら近所の子どもたちまで巻きこんでイベント化してしまった。

 感心するやらあきれるやら。おそらく彼自身がいちばん楽しんでいた。

 つきあって半年。まだまだ知らないことのほうが多い彼の、新たな一面を見た真夏の出来事である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る