Day19 爆発

 深夜、パン、という音で目が覚めた。

 枕元のスマートフォンを見ると、まだ零時を少し過ぎた頃だ。一体何の音か気になって身を起こし、スマホの画面で辺りを照らした。隣のベッドで眠っていた夫が身じろぎするのが見えた。

 スマートフォンと一緒に置いておいたはずの、借り物の数珠がない。

 まさかと思って床を照らすと、丸くて小さなものが散らばっている。水晶の丸い粒だった。突然爆発するように糸が切れたのだ、と直感的に悟った。さっき聞こえた音は、その音だったに違いない。

 階下から足音が聞こえた。皆寝静まって一階には誰もいないはずなのに、決して気のせいではない。確かに聞こえる。

 びっしょりと濡れた足で、誰かが家の中を歩き回っている。


 私は布団をかぶり、目を閉じた。もう日付は土曜日になっている。例の占い師が来るのは今日だ。

 あとほんの数時間耐えればいい。

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