第11話
「光ちゃんについて、話があるんだけど、、」
……え?
「最近ね、私たち2人で光ちゃんのお見舞いに行ったの。その時に聞いたんだけど、岡野くん最近連絡とってないんでしょ?光ちゃん、すごい気にしてたみたいで、目元が赤くなってたよ」
…そんなに気にしてくれてたんだな、、嬉しいけど、泣かせてしまったのはとても辛い。僕はいつも最悪な行動をしてる気がする
「でも、言いたいことはここじゃないんだ。光ちゃんがね、自分はもう長くないって言ってたの。それまでに1回は颯斗に会いたいとも言ってたよ。
岡野くん、このままだと一生会えなくなるよ?
もう、現実逃避は続けないで、今と向き合って?」
っ!!…そんなこと、言われたって!!
「姫嶋に僕の何が分かるっ!僕だって好きで続けてるわけじゃないんだ!!僕の今の思いだって知りもしないくせに!」
八つ当たりしてることはわかってる。ははっ彩華のことも言えないじゃないか
でも、どうしても、今の僕には許せなかった
もう、僕はダメ人間だな
「幼なじみのあなたの思いを理解することは出来ないけど、私だって悲しいし怖いよ!!高校生活を一緒に歩んできた友達を無くしそうになって平気でいれる人なんている?? いたとしても、私はそんなことできないよ!!」
っ!!!……あまりの迫力に姫嶋さんの顔を見たら、目元が赤く腫れていた
そうだよな、、悲しいのは僕だけじゃない
僕はどれだけ自惚れてたんだろうな
光を一番理解し、誰よりも光と一緒にいると思ってた。
だから、僕が1番悲しんでるって思っちゃったんだ
悲しみに優劣を付けるだなんて、最低だな
「……ごめん。今のは悪かった。自分だけ悲しいわけじゃないよな。気づかせてくれて、ありがとう」
「……うん。、、」
姫嶋さんの目を見て礼をしたら、迷った目をしたままの姫嶋さんがいた
「ど、どうしたの?」
「あ、あと、1個言わないといけないことがあるんだけど、彩華ちゃんがね?あの、えと、、、岡野くんがプレゼント渡しそびれちゃった事、光ちゃんに言っちゃった…」
………いや、さ。自分も渡せなかったのを悪いと思ってるよ??思ってるけどさ、それは違うじゃん?なんかこう、、事前に教えてくれても良かったんじゃない??僕、まだ気持ちの整理がきちんと出来てるわけじゃないんだけど??確かに、何かきっかけがないと行けなかったかもしれないけどさ?ちょっと違うやん
「………うん、分かった。今から行ってくる、、」
「…ごめんね?」
「いや、大丈夫。うん、、こちらこそごめんね」
空気が、重い、、、
「うん、、光をよろしくね」
「っ!!…自分の気持ちを全部光に伝えてくる」
「うん、行ってらっしゃい」
それから僕は、学校を休んで病院に向かった
――――――病室前
もう受付済ませちゃったけど、連絡せずに来たの迷惑だよね
扉を前にして急に冷静になったら、めっちゃ色んな意味でドキドキしてきた
会うためには、ここを開けなきゃいけない
いつもの出ない勇気を無理やり引き出す
コンコン
「…ぁい」
いた!
「失礼します」
恐る恐る病室を覗く
「あっ颯斗じゃん。久しぶり。急にどうしたの?」
久しぶりに見た光はとても元気そうに喋っている。けど、僕には空元気だということが分かった
以前にも、似たように空元気だった時期があった。この時、光は痛みを我慢して学校に来て、倒れてしまった
そうなると、今、僕のせいで光が無理をしてる
じゃあ、早くプレゼントを渡して帰らないと
「ん?どうしたの??」
…話さないといけないのに、言葉がでない
何か、何か1単語だけでも!!
「あ、えと、その、、、これ、プレゼント」
い、言えた。いろいろ自分に言いたいことはあるけど、言えた!
「プレゼント?くれるの?」
「……(コクコク)」
「ふふ、嬉しい。ありがとう、、開けていい?」
「…うん」
光が袋を丁寧に開ける
「ブレスレット…」
「…僕と色違いなんだ」
「あ、ほんとだ」
光が僕の手首を見て言う
光にすぐ渡せるだろうと思って、僕は買ってすぐに付けていた…渡せなかったが
僕は耐えきれなくて、とうとう声に出す
「……今まで目を背けてきてごめんね。光を失うのが怖くて光から離れちゃ、ダメだったよね。しかも、逃げた挙句、自分のタイミングで押しかけるやつなんて嫌だよね。ごめんね」
「……」
光は最後まで僕の目を見て聞いてくれた
もう、それだけで十分かな、、
「ズビッ……じゃ、もう帰る。急にごめんね。それ要らなかったら捨てちゃってね」
「そんな事言わないでよ」
「え?」
「私、颯斗が来るの、楽しみにしてたのに。プレゼントも、待ってたのに。そんな悲しいこと、言わないでよ。私の想いも確認しないで帰るなんて、それこそ嫌だよ」
「……そうだね。ごめん」
僕は、本当に嫌なやつだ
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