第20話 救出

 「ここがあいつが行ったショッピングモールか……広いな。」


俺は店内をぶらぶら歩く。


「なんだ?誰も居ないのか?このだだっ広いショッピングモールに?」


店内には奇妙な事に静まり返っていた。あたりには商品が散らかっている。まるで強盗が入ったみたいだな……これで、あいつの身に何かが起こったのは確定だ。


「何処にいるんだ〜?」


俺がそう言った途端、アナウンスが鳴った。


―――ピンポンパン―――


「涼風杜庵さん。サービスカウンターまでお越し下さい。」


―――ピンポンパン―――


「ふ〜ん、分かった。」


俺はアナウンスが鳴っているスピーカーをぶっ飛ばした。いや、ぶっ飛ばしたという表現は正しくない……正しくは、“消滅”させた。


「サービスカウンターは何処だ?探すのは面倒くさいな……誰も見てないし……ちょっと見晴らしを良くしようかな……」


俺は本当の能力を発動させる。俺の周りに青い亀裂が発生する。


「は〜いどっかァン〜」


俺が少し手を動かすとショッピングモールの壁がバラバラになった。瓦礫は宙に円を描きながら浮いている。

久しぶりにこの能力を使ったが案外威力を調整出来るものだな……


「あれがサービスカウンターかな?」


俺はサービスカウンターの入り口付近まで近づき、脳を解除する。

すると、瓦礫がまた壁に戻った。


「証拠隠滅〜さぁて原因はこの中か?それと、さっきから俺の脳に入ろうとしてんのか?んなもん効かねぇよ。」


俺は能力を使うと暫くの間戦闘狂みたいになる。

これが能力のデメリットだ。まぁ、今はあまり関係ないか……


「入りま〜す。うわ!赤!全部赤だ!これ全部血とか言わないよな……おっ!杜庵居るじゃん!何寝てんだ?」


杜庵はサービスカウンター中央で倒れていた。

俺は杜庵に近づいた、刹那!俺の頬から血が流れた。


「ふふっいて〜な〜でも……お前の方から来てくれて助かった。10秒以内にお前を殺す。」


そして、戦闘が始まった。

化け物は体がでかい割に動きが速い。すぐに俺の懐に入ってきた。

それは同時に、俺の能力の届く範囲に入ってきたという事でもある。

俺は化け物に触れて能力を発動した。

小さな世界ができる。

この能力の“本当の能力者ではない”が俺は完全に使いこなせる。


「いいか?これは俺が創った世界だ。小さいがお前にはこれで十分だ。」


この世界は俺が操れる。

俺は化け物を消滅させた。


「ふぅ〜世界を創るのは以外と体力を使うな~さっさと杜庵を起こして帰るか……」


俺は杜庵を起こし、帰路に着いた。

あの化け物は……そうか……もうそろそろ潮時かな……

そんな事を考えながら家まで歩いた。







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