クローンガールズ

双六トウジ

プロローグ

 万能奴隷クローンガールズ。

 それは宇宙平和地帯でのみ販売されている、アルカトラズ社が贈る素敵な生命体。

 若くて可愛くて、貴方のなんでも言うことを聞いてくれる女の子。

 それが、あたしたち。


 あたしたちは沢山いる。

 おんなじ顔、おんなじ身長、おんなじ声。おんなじ髪色髪型。

 まるでカマキリのタマゴから出てきたベビーのように、うじゃうじゃいる。


 あたしたちは色んなところにいる。

 奴隷市場。

 女性の少ない村。

 怪物の住まう森。

 労働力、繁殖、生贄。

 色んなところに、色んな用途で存在している。


 それでいいのかって?

 あたしの人生、辛くないかって?

 ええ、ええ、よく言われます。

 けれど、誰かの役に立つことがあたしの喜びなの。

 悲しみ、痛み。そんなものはあたし達には意味なし。


 でもただ、その反動のようなものなのか。

 少しでも優しくされると、なんだか変な感じになっちゃう。

 具体的にどうなのかと問われると、自分でもはっきりしないんだけど。


 これはそんなあたしたちの中の、一個体のお話。


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