ぴかぴかのヒールの高い靴を買う 足元見るやつ蹴とばすように

 真っ赤と真っ黒と真っ黄色の中から、あたしは真っ赤な靴を選んだ。一番ぴかぴかでヒールが鋭く高くて、何より一番強そうだったから。ピンピンのお札でお会計をしている間からもうたまらなく嬉しくなっちゃって、見かねた靴屋のおじさんが「ここで履いていきますか」と提案してくれるくらいだったのだけれど(子どもか)、あたしはそれを出来る限り丁寧に断った。真っ赤な靴はしとやかな薄紙に包まれて紙箱に互い違いに収められ、宝物みたいに恭しく蓋を閉められた。紙箱は靴屋のロゴがでかでかと入った紙袋にぴったりしまい込まれて、紙袋はあたしの腕の中にしっかり抱きかかえられている。まるで予定調和のようなフィット感。きっとこの靴があたしのところに来ることは、運命みたいに決まっていたことなんだ。真っ赤なヒールを履いて堂々と立つ姿を妄想したら、自然と背筋がピンと伸びた。

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