第4話 命の授業。
腰をグキッてやる覚悟を決めて行ったけど(そしてほかのママさんと立ち話を回避するため、あえて授業がはじまって直後くらいの時間に行った)、なんのことはない、普通に命の授業がはじまっていて拍子抜けしたわ。
息子の中のどこから『体育に変更』という話が出てきたのか、普通に謎すぎるんだが……。
多目的ホールという名前の場所は見た目は完全に体育館だけど、昔は食堂として使っていたようで、可動式の机や椅子もある。
そこに保護者は座って、児童は前に集められて体育座りで特別講師のお話を聞くという感じだった。
「皆さんに渡した袋の中から、この黒い紙を出してください。小さい穴が空いているのがわかる? 本当に見えないくらいの小さい点だよね。赤ちゃんがお母さんのお腹にきたとき、なんと赤ちゃんはこの小さな穴くらいの大きさなんです」
と説明する特別講師の女の先生。その後も指先くらいの大きさの綿だったりを見て、赤ちゃんが大きくなっていく様子を説明。
そして妹が生まれる女の子の絵本をもう一人の先生が朗読。
まだ四歳くらいの女の子が非常に聞き分けよく、陣痛で苦しむ母親を励まし、出産にも立ち会い、産まれてきた妹を笑顔で迎えるという感動的な内容の絵本だったけども。
(こういう平和な妊娠・出産ができたら、どこん
という、ひねくれた考えしかできなくなっているわたしにはふさわしくない絵本だったわ。南無。
それより特別講師の先生が「では出産の時の様子をお母さんに聞いてみましょう」とかインタビューとかしはじめたらどうしようと、そっちのほうが気が気じゃなかった。空いている席がなくて前のほうに座っちゃったからよけいに。
結果的にそういうものはなく、最終的にはグループに分かれて、保護者と一緒に赤ちゃん人形を抱っこし、着替えさせてみようという体験で終わったけども。
下に小さい弟、妹がいる子が手慣れた感じで着替えさせたりしているのに驚くけど、たいていの子は首も据わらない赤ちゃん人形を抱っこするだけで苦労する様子。
わたし自身、人形を着替えさせる息子を手伝ったんだけども、
「このベビー服の足のところってどうやってボタン留めるんでしたっけ?」
と、わかんなくって、隣のママさんに助けを求めたという体たらく。
おむつ替える手間があるから、足の部分のボタンとかいちいち留めたことなかったんよ……。
こんなところでもズボラはバレるんだよ、母親諸君。マジで人生、気を抜く暇がないと思わないかね?
まぁとにかく授業は笑顔で終わり、そのあとの学部会はキャンセルして、息子と一緒に車で帰宅。
娘は一人時間を満喫していたようで「あ、お帰り~」と淡泊な出迎えだったわ。
夫もその日は早めに帰ってきた。家を出るのは夜中の1時頃ということで、家族で普通にご飯を食べて、その後は仮眠。
わたしは「さすがに見送りしたいな」と思って、その日は1時までゲームして起きていたよ。
そして沖縄に旅立つ夫を玄関先で見送り、さぁて今日から四日間は子供たちだけの生活か……、と寝床につきつつ、
(でも夫がいないとご飯は適当で大丈夫だから、めっちゃ楽~!)
とちょっと喜んでもいたのだった。
基本的に家事が大きらいな主婦だけに、料理という手間が省けるだけでかなり嬉しかったりするのである。洗濯物の量も減るしね。
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