第2話 ここに至るまで。
まぁそんなこんなで学校を3日も休んだ娘は、翌月曜日、当然のごとく学校行かないいいいって気分になっちゃったのよ。
でもわたしも〆切を月曜日まで延ばしてもらったという経緯があったから、なんとしてでも学校行ってもらいたいと思って、無理やり行かせてしまったのだ。
さらに月末にも一つ〆切があって、やっぱりその週は無理して学校に行かせていたら……。
「もうやだ。死にたい」
と娘が言うようになっちゃって、佐倉ママ、もれなく大パニックよ。
パニクるままに市役所のHPとかあさって教育相談に乗ってくれそうな機関や組織やひとはいないかと探し回り、片っ端から相談のメールを入れて、GW明けに娘を連れてあちこちに相談に出向いて話をしまくり。
教育相談員や児童精神科医といったいろんなひとに相談したけど、まぁ新年度ストレスでしょうという感じで、とにかく無理はさせずに様子見で~っていうのがほとんどの回答だった。
ただ市役所から小学校に連絡が行ったようで、ことを重く見た女教頭先生が「一回、○子ちゃんの学校生活について担任も交えてお話ししましょうか」と声をかけてくださり、わたしと担任と教頭とで三者面談して、娘はまた支援級クラスが入る別室にも通ってみようという話になった。
「同じクラスには去年から苦手な男子がいて入りにくいということですが、ちょうど、うちのクラスの隣の教室が空き部屋になってるんですよ。なので習字や工作なんかはそちらの空き教室に○子ちゃんに入ってもらって、わたしがクラスと空き教室を行ったり来たりしながら教えたりもできるので、そんな感じでやってみますね」
とベテランの担任の先生が提案してくださったこともあり、5月は休みつつもなんとか通うことができたわけだ。
――6月に入っても基本は別室登校な感じだけど、遅刻は毎日のようにしても欠席は少なくなってきた。
なので、娘本人の「三週間、欠席せずにがんばったからご褒美が欲しい」という要望に応えて、昨日の日曜日は宇都宮の科学館に家族で遊びに行ったわけなのである。
コロナでずっと封鎖されていた『くらやみたいけん』と『ななめの部屋』が解禁になったこともあり、息子も娘もその二つの展示物を行ったり来たりして遊び回っていた。
――そうやって元気に遊んでいただけに、いざ月曜日になって「お腹痛い、気持ち悪い、学校無理ぃ……」と主張されても、そりゃあ通らないでしょうよ。
とはいえ確かに梅雨でジメジメで、わたし自身も体調悪い~って感じだったので、まぁ中休みから行きましょうか……ということで学校には遅刻連絡。息子は通常どおり登校。
とりあえず中休みに行くということでわたしも準備していたけど、娘の体調はよくならず。おまけに吐き気も出てきたようで自分から洗面器を所望し、一日中ずっと抱えていた。
たまに嘔吐いていたけど、吐くほどではないようで、唾をペッと出してはため息をつくような感じ。
それでも夕方には良くなってきたけど、なんと微妙に熱が上がって37度の半ばをうろうろする事態に。
「これじゃあ明日も学校お休みかな。明日はプール授業と、学校公開があるんだよね」
プール授業は、小学校のプールが老朽化でもう使えないので、近所のスポーツクラブに行ったり、市内の小学校に遠征に行ったりしていたけど、今年は市営プールを借りて授業をすることになっている。
そのためプールの日には観光用のでっかいバスが三台くらい学校にきて、児童を乗せて運動公園まで運んでくれるのだ。
バスは当然クラスごとに乗るから、同じクラスのきらいな男子と一緒の空間はいやだ、というか着替えるの面倒だからプール自体いやだ、ということで、娘は6月に入ってから二度のプール授業をいずれも見学している。
親からすれば「スクール水着代を返せ」という話よ(水着代ってわりとかさむよね……。すぐ成長するから去年の水着が着れないってことが毎年続いているし……)
まぁとにかく、プール授業もあるし、一年生から三年生までの学校公開の日でもあるから、明日も休みでいっかぁと適当に考える佐倉。もう学校行けと言い続けるのも先三年で飽きてきたところもある。
という感じで考えていたら、仕事から帰ってきた夫が一言。
「おれ明後日から社員旅行だから、明日の夜中に出発するね」
(社・員・旅・行!)
そういえばそうだった。4月の時点で「6月に旅行ね」って言われていたのに、娘の諸々がこれだけどっさりあったから、そんなこと頭から完全に吹き飛んでいたわ。
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