三法師
柴田勝家に嫁ぐことになった信長の妹お市により清須会議の進展する事になるも誰を当主にするかで意見が分かれ中断するも秀吉から柴田勝家に向かって解決策が提示された。
「中々解決する案が出ませぬので某から柴田様が此度お市様を娶る話となったゆえにこれより柴田様は織田一門となります、そこで某の考えを申しますので皆様再考してみて下され! 柴田様の御考えは血筋こそ大事であり受継ぐ者が当主となるが相応しいとの話であります、池田殿もほぼ同じであります、そこで皆様大切な事をお忘れで御座います、本来であれば上様の次は信忠様です、信忠様の次は信忠様の長子であり嫡子のお子様です、何故先程から信雄様の名前は出るものの信忠様の嫡子『三法師様』の名前を出さぬのでありましょうか、某は幼いとは言え立派な嫡子様である三法師様を当主にするべきでありそれにより全てが治まると考えまするが如何でありますか!?」
「済まぬが先程の柴田殿が一門になる事と三法師様が当主になる話の繋がりはどういう事であるか?」
「池田殿大切な問いかけ助かります、柴田殿が一門となれば当主が幼い三法師様でも政の支えとして柴田様が差配出来ます、何しろ柴田様にはお市様と言う後ろ盾が御座います、幼い当主であっても柴田様が後ろにいる事で多くの者が安心致します、信雄様では某も不安で仕方ありません、皆様も同じかと思われます、不安なる当主を据え置けば織田家は配下の者が離れまする、ところが幼い当主であっても後ろに柴田様がいる事で安心されます、元服した暁には織田家の立派な当主になっておりましょう!!」
「ふ~む・・忘れておった、見逃していた、実にありがたい指摘ぞ! 今の話柴田殿は如何に思う!!!」
「むむむ~・・これは又もや驚いた秀吉からそのような話が出るとは、てっきり儂を嫌い反対しているのかと思うておったが、要は儂に三法師様を立てて織田家の差配をしてはどうかという事であるな、儂は嬉しい話であるが池田と丹羽はどうであるか?」
「いやはやいやはや皆で話して見るものですな、お市様の件といい、三法師様が当主になる話といい素晴らしき案であり誰もが納得する落としどころではないかと思われる、某丹羽も太鼓判を押す案と言えます!」
「三法師様が立派に育つまでの費えを皆で捻出致しましょうぞ、某も良き案であると思います!」
「柴田様丹羽殿も池田殿も賛意して頂けました、勿論某が口に出した案であります、そこで某より柴田様がこの案をお受けするのであれば某よりお市様をお迎えするお祝いと三法師様が御名代となり傅役となられるお祝いに長浜城と北近江3郡12万石の領地を割譲致しますぞ!!」
「なんと本当であるか!? これは又気前が良い話である、その方は大丈夫てあるのか?」
「問題ありませぬ毛利から割譲した国もあります、畿内は既に某が抑えてあります、領地は充分増えております!!」
「うむ、皆の気持ちありがたく頂戴致す、皆も此れよりは儂に力を貸し三法師様を盛り立てていこうでは無いか、では信雄様と信孝様は如何致す!!」
「それも某に妙案があります、信孝様は既にこの尾張国をお持ちであるので現状に留めます、信雄様には安土の城放火の疑いはあるものの証拠は無く不問とし織田家の象徴でもある岐阜をお与えします、その上で名目上は三法師様の後見人と致せば宜しいかと思われる、後見人とは言え織田家の政をする場合は柴田様の許可を必要とするのです、如何でありますかな!!」
「羽柴殿それも良い案であるな、朝廷が咎めておらぬ信孝様を現状とするのであるな、信雄様には利も与え不満を抑えるという事であるな、この案もかなり考えられた案であるぞ柴田殿はどうであるか?」
「儂は此度お市様を娶る事になり更には三法師様を立派に育てる名誉と秀吉より城と領地を頂くのじゃ、儂が横槍を入れれば恥をかくだけじゃ、皆が良ければそれで良いであろう信雄様の抑えは儂がやろうぞ!!」
「では池田殿もそれで宜しいですな!!」
三法師とは織田信忠の嫡男、織田信長の嫡孫であり幼名を三法師後の織田秀信である、信長、信忠、三法師という直系の血筋であり幼いとは言え実に正しい選択であったとも言える、決して秀吉の無理強いをごり押しした結果とは言えない。
本能寺の変の際、父・信忠の居城岐阜城に在城していたが、前田玄以、長谷川嘉竹らに保護されて清洲城へと避難していたこの時3才にて織田家家督相続をする事になった、岐阜の領地は名目上三法師になるが幼いと言う理由と後見人である信雄が元服するまで預かる形式となった。
この清須会議が無事に終わったかに見えるが急速に力を付ける秀吉に自分を当主に据え置かずに一番反対した秀吉と信雄の仲は悪化を辿る事に、又史実では信孝も秀吉に対抗するが此度は変を起こした張本人という事で秀吉側に付く事に、そもそも秀吉に力を付けさせる提案を信孝は行いその通りに清須会議は纏まった。
秀吉と信雄の対立がはっきりと形に現れ両者は争いが避けられない事態となるのに2年も掛からなかった、その間に中間色の丹羽と池田はどうしていたのか? 丹羽も池田も清須会議の際に秀吉の案に賛成した事で信雄に嫌われ秀吉側と見られ避けられてしまう、信雄に焚きつけられた勝家は秀吉に何かと命を出すも中々従わず両者は戦で決着を図る方向に進む事になる、当然の事ではあるが当初から予想された流れと言える。
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