那須家の再興 今ここに!

那須笑楽

第1話 戦国最強大名 那須家



 俺の名前は今成洋一23歳、川越で生まれ育ち、県内にある工業大学を無事に卒業し、農業機械等を製造している世界的に有名な〇ンマーに就職して2年目になる。


 設計部門を目指していたが、採用されたのはメンテナンス部門であった、なんでも現場で起きる問題点を知らずに設計は出来ないとの理由で、最初は他部門で経験を積みながら、頑張るようにとの事だった。




 俺の実家はその昔は大農家で小作人を数十人抱え、川越では数本の指に入る大名主だったそうだ、それは俺の名前にも関係がある、川越に俺の地名が付いた所があり、俺の苗字の小学校まである程だ。


 なんでも戦国時代にいた今成という武将が、川越に今成館という砦を持っていたそうだ。



 その今成という武将が先祖になるらしい、しかし、大地主だった様だけど戦後の農地改革で小作人の人達に相当安い価格で分け与え、今もそれなりに農地はあるけど、今では爺様と婆様、それと両親での四人でギリギリ専業農家として俺と弟を育てたそうだ。


 そんな環境で育った俺は、これからの農業はしっかりと人に頼らない農業をしない限り将来は無いと考え〇ンマーに就職したのだ。




 趣味は中学の部活で始めた弓道が今も暇な時は道場に通っている、思い通りに的に矢が当たる瞬間はなんとも言えない高揚感とストレス発散には最高の趣味である。




 但し、誰にも言えない悩みを抱えている自分がいるのだ、時々自分が自分で無くなる、別の自分が時々現れるというか、声が聞こえて来て、その不思議な自分と会話を何故かしている時があるのだ、二重人格という言葉あるが、そんな様な現象なのかと暫く悩んでいたが、どうやら違う感じなのだ。




 中学2年の夏休みにある所へ行ってから現象が起き始めたのがきっかけだ。




 俺の趣味は弓道、中学一年の時に部活の顧問に連れられて、同じ一年生4人と一緒に、弓で、世界で一番有名な伝説の人、たった1本の矢で歴史を作った『那須与一』を学ぶ為に、栃木県大田原市の道の駅にある、那須与一 伝承館という人形劇で屋島の戦いを再現するんだ。




平氏が漕ぐ小舟に乗った女性が、義経を中心とした源氏に挑発する場面、小舟の上で棒に刺した扇を砂浜にいる義経達に『お前たちにこの扇を打ち落とせる勇者がいないであろう』という挑発をする有名な場面が登場する。




 挑発された義経は『見事あの扇を打ち落とせる者はいるか』と、自軍の兵士に向かって声をかけて何人かの坂東武者が名乗りを上げ義経の元に集まって来るのだけど、ある武者が一人の若者を弓の名士であると言って連れてくるんだ、それが那須与一なんだよ。



 義経は集まった坂東武者たち一人一人に聞くんだ『お前はあの的を落とせるのか?』と、坂東武者たちは俺なら打ち落とせると自信たっぷりに言うと、最後にお前はあの的を落とせるのかと聞く義経『大変に難しいことなれど、命とあればここの命に代えて』と答えると若武者、義経は周りにいる武者たちにこの若者に任せると、その理由は、坂東武者の性格は自分を抑えることが出来ず、自分の力を過信する所がある、しかしこの若者は冷静に今起きている場面を誰よりも理解している。




『この若者に射る事が出来なければ誰にも成しえることは出来ないであろう』と義経は宣言し、『おぬしの名はなんという』『はっ、那須資隆が十一男 那須与一と申します』と、答え義経は与一に見事に扇を射ち落とし与一の名を天下に示せと命じます。



 愛馬 鵜黒に騎乗し、小舟の浮かぶ浜に移動する与一、砂浜から海の中に騎乗したまま、愛馬の膝が見えなくなる深さまで浸かります。



 与一は心の中で己の決意を歴史に残る名文句『南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ、これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、人に二度面を向かふべからず、今一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢外させ給な。』と宣言し 鏑矢を一射打つのです。




 平家の軍勢と源氏の軍勢が見守る中、与一の放った鏑矢は音を立て扇に向かい見事に打ち抜き、扇は海に落ちていった、その人形劇を見た洋一は、全身から血が沸き上がりその場で気を失ってしまう。




 人形劇が終わり暗転から場内に照明が灯され、そこには気絶した俺、洋一が床に倒れており、救急車で運ばれた、あの出来事から。




この出来事から俺の人生は大きい目に見えない巨大な渦の中に入る事になる、自分では抜け出せない大きい力が舞い降りたと思っている、歴史を変えてしまうような自分の知らない歴史が・・・・・


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