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「雨、降り出しそうですね」

 真昼は言う。

「うん。そうだね」四葉は言う。

「あの、秋野先輩」

 大きなビルの立ち並ぶ街の中、アスファルトの道の途中に立ち止まって、真昼は言う。

「どうかしたの?」四葉は言う。

「……少し、お話しできませんか?」

「話?」

「はい。すごく大切な、お話です」

 じっと四葉のことを見て、真昼は言った。(真昼は決意をした強い目をしている)

 四葉は少し考えてから、真昼を見て「うん。いいよ。わかった」と真昼に言った。


「私は秋野四葉先輩のことが好きです」

 真昼は言った。

 それは四葉の顔を正面からしっかりと見つめた、とても真っ直ぐで正直な性格をしている、村上真昼らしい、とても気持ちの良い、思い切った告白だった。

「秋野先輩。私と付き合ってください」真昼は言った。

 真昼は少しだけ体を乗り出して、じっと、強い気持ちのこもった目で、四葉の顔を見つめていた。

 村上真昼が秋野四葉に恋をしたのは、大学に入ってすぐのころだった。

 それは、一目惚れだった。

 それは本当に突然の恋だった。(恋をする予定は、当分ないはずだった)

 真昼はようやく、四葉に自分の思いを言葉にしてきちんと伝えることができた。ずっと片思いの恋のままで、告白ができなかったのに、こうして今日、四葉に告白をすることができたのは(実は、最初から今日、真昼は四葉に自分の思いを伝えるつもりだったのだけど、彼女と出会わなければ、きっと、今日もいつものように、本当の自分の気持ちを四葉に言えないままで、さよなら、をしていたと思う)雨宮詩織さんのおかげだと真昼は思った。

 四葉はずっと黙っている。

 片思いだけど、私の好意は、……四葉(あなた)への思いは、きっと四葉にも伝わっているはずだ。その確信が真昼にはあった。(私は器用に自分の思いを隠して、恋愛なんてできないのだ)

 だから、四葉もいつかこうして、私(真昼)から、突然、こうして告白されることもあると、最初からわかっていたはずだった。

 でも、四葉は無言。

 ……返事がないのは、拒否の証なのだろうか?

 真昼はすごく不安になった。

 心臓がずっとどきどきしていた。

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