転生して努力してエッチしたい

田中太郎

第1話

 おいおいマジか。

「オギャアアアアア」

 どうやら俺は赤ん坊に生まれ変わったらしい。

「オギャアオギャアオギャア」

 いやうるっさ。


 そんなわけで俺は5歳になった。赤ん坊なんて乳飲んでウンチして寝るだけだからね仕方ないね。生まれてから5年も経つと色々な事もわかってきた。


 まずこの世界には魔法がある。ファイヤーなんちゃらとかストーンなんちゃらみたいなそんなのだ。ただ魔法教本なんかは凄く高くてうちの家には置いてなかった。


 そんで持ってこの世界の技術レベルは日本の昭和?ぐらいだと思うケータイは無いけど、各家に黒電話とか冷蔵庫洗濯機ぐらいはある。正直ボットントイレとかじゃ無くて心底安心した。


 さてそんな世界で今俺が何をしてるかと言うと。

「ではこの問題をタイラー答えてみたまえ。」

「121です!」

「うん正解だ。」

「おおおおお!」

 普通に勉強してた。



 しっかりと文明が進んでいるからこそだろうか、この世界では子供を働かせたりする事はあまり無いらしい。ただ日本の知識のある俺からすると、机で算数や国語みたいなのを勉強させられるよりも、外で体を動かす方が楽しいが一度本気で怒られたことがあるので自重してる。決してパンツを濡らしたりはしていない。


「毎日毎日机の前に座らせられてつまんねーよな。タイラーもそう思うだろ?」

「先生怒ると怖いぞやめとけよ。」

「ええー。・・・実はさ今度男達で森に行くんだタイラーも行かないか?誘うように言われててさ。」

「行ったせいで怒られたの知ってるだろ。」

「だからこそじゃん。行ったことある奴がいた方が心強いって。」

 俺は正直行きたくは無い確実にまた怒られるし、授業で魔物が出るとは聞いていたが俺は出会う事すらなかった。

「行って何すんだよ。」

「この町で取れる花があるらしくてさ、度胸試しに取りに行くんだよ」

「わかったよ。」

「お!じゃあ今日の夜に先生の家に集合な。」

 ここで断って逃げたみたいに言われるのもいやだししかたないか。そんな甘い考えを俺は後悔する事になる。




「おーい。」

 夜両親が眠ってから家を出るとすでに3人ほど集まっていた。

「タイラーかエドがまだ来て無いが、まあいいか行くぞ。」

 そう言ってアレクは歩き出した。

「ほら俺たちも行こうぜ、外への道知ってるのお前とアレクしか居ないんだからさ。」

 どうやら円で囲われたこの町の抜け道をアレクは知っているらしい。俺達は抜け道を知っているわけでは無いので出来るだけすぐ後ろを着いて歩いた。

「そろそろ外に出る外に出たら全力で走るから今から準備しとけ。」

 アレクの言葉に戸惑いながらすぐにその変化はやってきた。まだ家が並んでいた景色は突然変わり俺達は森の中に後ろを振り返っても木が綺麗に並んでいるだけだ。

「なんだよこれ!」

「すげー!これが魔法ってやつなのか⁈」

「急げ!」

 走り出したアレクにただ着いていく初めての経験に俺はワクワクしていた。

「お前花のある方わかんのかよ!」

「知らないから探しに来たんだろ。夜には白く光ってるらしいから探せ!」

「も、もう無理。」

 幼馴染のチノが走るのを止めてその場に座り込んでしまった。アレク達は気にもせず走り続けているので初めから置いていく、つもりだったのかもしれない。

「チノもう良いだろ。アレク達ももう追えないし家に帰ろう。」

「でもせっかく外に出れたんだぜ。せめて光る花とか幻のドラゴンとか見つけてから...。」

 どうやら簡単には帰るつもりは無いらしい。

「ほら乗れよ。」

「・・・いいここで待ってる。」

「さっさと乗れ!」

 ウジウジしたチノを無理やり背中に乗せ全速で走り出す帰るのに納得出来ないなら納得してから帰ってもらおう。

「うああああああ」

 後ろで叫び声が聞こえるがまあ自業自得だ。

「うあああああああ...あれ止まった?」

「ふう疲れた。見てみろよ。」

 そこは前回俺が見つけた湖だった。巨大な湖が底が見えるほど透き通っている、中にドラゴンっぽいのがいる気がするが気のせいだろう。前回俺が怒られたのと引き換えに得た唯一の成果だ。

「すげぇ...」

「ええ綺麗なのには私も同意です。」

 感動しているチノの言葉にの声が重なった。そしてすぐに俺のあと多分チノの頭に鋭い痛みが走った。

「「いったー」」

痛みに悶絶していると気づけば先生の家の前だった。これも魔術によるものなのだろう。

「先生はもう寝ます皆さんもさっさと家に帰りなさい」

隣にはぐってりとしたアレクとマイクがいた。どうやら俺たちより先に見つかってしまっていたらしい。

「そう言えばアレクとタイラーは2回目でしたね。明日も来るようにではおやすみなさい。」

明日は先生の家に集まる日じゃなかったのに...泣いた。

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