No.132 煙草とコーヒーと財布
煙草の匂いが漂ってきて思わず手で鼻の前の空気を散らす。数メートル先の男からのようだ。
家までは脇道もなく避けることができないが、このまま付いて行くのはまっぴらだ。近くの自販機に千円をねじ込んで缶コーヒーのボタンを押す。
お釣りで歪に膨らんだ財布を睨みながら、俺はコーヒーを啜った。
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