小さい問題

目が覚めたとき、いつものアラームとは別の音が混じっているのがわかった。音の発生源である枕元の端末を覗き込む。今朝は微熱があるらしい。眠い目を擦りながら『警告を無視』を選び、朝食の支度を始める。


パンに目玉焼きを乗せたものを頬ばりながら端末で地図を出し、今日の通勤ルートを考える。猫アレルギーがあるので、できるだけ猫の少ない道を選ぶ必要があるからだ。地図に映る野良猫を示す点を見ていると、BGMとして流していたニュースから信じがたいことが聞こえ、思わずついとテレビに目を移す。どうやら聞き間違いではなかったようで、思わず笑い声が漏れてしまう。頭のいい人たちが集まってなんて馬鹿なことをしているのだろうか。


『政府のペットから野生の動植物にまでマイクロチップを所持させる方針ですが、ついにミジンコ等の極小さな生物にまでこれを適応させると発表がありました。専門家たちはミジンコに埋め込むためのマイクロチップの制作に難儀している模様で…』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る