第52話 絶対に死ぬ村 (8) 終
「うわ〜、マリコさんすごい忙しそう」
千尋はゴロンと寝転がってウーバーフードしたポテトを食べながらスマホを眺めている。
「まじか」
「うん、あの笠間の件。相当数の保険金詐欺があったみたい。それに、ダークウェブのそういうサイトたくさんあったらしくって……あ〜あ、それにナツキくんの単独企画超バズってるじゃん? 私の立場ぁ〜」
俺の単独企画は正直言うと千尋と一緒の時と非にならないくらいバズった。テレビのワイドショーなんかでもちょっとした騒ぎになったほどだ。
それもそのはず、「絶対に冒険者が死ぬダンジョン」を攻略しちゃったのだから。
「そういや、千尋。夏休みの課題終わったのか?」
「終わったよ。北海道旅行行きたかったし……」
「そっか。じゃあ、しばらくは企画と配信に集中できそうだな。」
「うん、私の単独企画<千尋とダンジョン飯!>も楽しみだなぁ」
「マヨはやめろよ」
「え〜、私といえばマヨじゃん」
「それじゃダンジョン飯の意味ないじゃんか」
「マヨに合うダンジョン飯的な?」
こう言うところは頑固なので彼女とこれ以上言い争っても無駄だ。まぁ、マヨでもいいだろう。多分。
「ねぇ、ナツキくん」
「ん?」
千尋はよいしょと起き上がると、俺の方に近寄ってきてスマホの画面をこちらに向けた。
「んん??」
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<配信者サバイバル>
参加のお願い
配信者サバイバル番組を企画しております〇〇制作会社と申します。
この度は是非、当企画に千尋チャンネル様および傭兵ナツキ様にも参加者としてご参画いただきたく思います。
なお、本企画は全編ダンジョン内でとり行われるため生命の保証は致しかねます。
下記、優勝賞金
賞金:100,000,000円
また、一般参加者の他に招待参加者がおり、千尋チャンネルおよび傭兵ナツキ様は招待参加者になります。
(招待参加者は情報解禁日にSNSにて公開されます)
何卒、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
〇〇制作会社
相川まなみ
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配信者サバイバル。
これはネット上で放送されるかなり過激な番組だ。冒険者がダンジョン内で死んでも法律上問題ないことを抜け道にしており、かなりの高難易度ダンジョンを最速でクリアさせる企画。
これまでに何度か開催されているが、かなりの物議を醸している。
「良さそうじゃない? ナツキくんなら絶対勝てるし……。私もサポートする」
「1億か……賞金は大したことないな」
「ここ、みて」
千尋はメール文の最後の方を指差した
<今回は世界展開を見込み、多国語翻訳をします>
「そろそろ、外国のフォロワーさんも欲しいじゃない? 日本一じゃなくて世界一……ねっ?」
「よし、史上最速クリアで世界一になろう」
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