第12話:夏江と一緒にテスト勉強をしていく
それからしばらく経ったとある日の放課後。
「ごめん和樹。この問題ってどうやって解けば良いんだ?」
「ん? あぁ、これは前に授業でやった数学の定理を使うと式を簡単に分解する事が出来るから……」
もうすぐ学校では中間テストが始まる時期がやってくるので、俺は夏江を誘って一緒に図書室でテスト勉強を行っていた。
(やっぱりいつ図書室に来ても人が少ないから快適だよなー)
実はこの学校には綺麗な自習室も完備してあり、勉強をする大半の生徒はその自習室を利用しているので図書室はかなりの穴場になっているんだ。
なので俺達はそんなガラガラ状態の図書室で快適にのんびりと勉強をしていっていた。
「あぁ、なるほど! その説明はマジでめっちゃわかりやすかったわ! サンキュー!」
「それなら良かった。それじゃあ俺もわからない問題があるんだけどさ、ここの英文ってどうやって訳せばいいんだ?」
「んー? あぁ、これはな、ここの繋がりが熟語になっている事に注意して読んでいかないとだから……って日本語に訳せるはずだな」
「あ、なるほどな、それって熟語だったのか! ありがとう、凄く助かったわ!」
「おうよー。またわからない問題があったらいつでも聞いてくれよな」
「あぁ。夏江もわからない所はいつでも聞いてくれな」
そんなわけでお互いにしっかりと感謝を伝えてから、またお互いに別の問題集を解き進めていった。
「いやー、それにしても一緒に勉強会をしていると結構捗るよな。一人きりで勉強するよりも圧倒的に頑張れる気がするよな」
「あぁ、確かにそうだなー。って、あ、でもごめんだけどさ……来週からはちょっと和樹と一緒に勉強会は出来なくなるわ」
「え? そうなのか?」
するとその時、急に夏江は申し訳なさそうな顔をしながらそんな事を言ってきた。
まぁ確かに夏江とは一年の頃から一緒にテスト勉強をしていたので、突然これから出来なくなると言われて俺はちょっとだけビックリとはした。
「あぁ、そうなんだ。一年の頃からずっと一緒にテスト勉強をやってたのに、これからは一緒に出来なくなってごめんな……」
「いやいや、そんなの全然気にしなくていいよ。でも確かに突然な話だよな? もしかして何か特別な用事でも出来たのか?」
「えっ!? あ、あぁ、まぁその……いや実は来週から桜井さんと二人で勉強会をしようかなって思っててさ。来週から桜井さんは部活が休み期間に入るらしいから、だから良かったら二人で勉強をしようって話になってさ……」
夏江は少し顔を赤くしながらそんな事を言ってきた。要は彼女と二人きりで勉強会をするという最高の楽しいイベントが始まるらしい。
「はは、何だそういう事かよー! めっちゃ良い理由じゃん! わかったよ、それじゃあ来週からは各自で勉強を頑張るって事にしような!」
「ありがとう! そう言ってくれると助かるよ!」
「あぁ、全然構わないよ。それで? 桜井さんとは何処で勉強会を開くつもりなんだ? あ、もしかして夏江の家でやるとかか?」
「えっ!? い、いや流石にまだ付き合い始めたばかりで家に呼ぶのはハードルが高すぎて無理だろ! ま、まぁ今の所は無難に近くのカフェに行ってそこでお茶でも飲みながら勉強会をするつもりで考えてるよ」
「ふぅん、なるほどな。はは、それじゃあ放課後デートってやつだな! うんうん、それじゃあ来週からは桜井さんとの勉強会も楽しんでこいよー」
「あぁ、ありがとな、和樹!」
俺は満面の笑みを浮かべながら夏江にそう応援をしていった。やっぱり桜井さんと凄く仲が良さそうで微笑ましいカップルだよなー。
(はは、これからも夏江と桜井さんには末永く仲良くしていって貰いたいものだな)
俺は親友と桜井さんの恋を全力で応援していきながらも、その後もしっかりと今日の分のテスト勉強を頑張っていった。
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