01話 百合パワーは最強なのです!!

「はぁーーふぅ…はぁーーふぅ…」


私は落ち着きを取り戻すために何度も何度も深呼吸をした。


「え〜とさ、何かの聞き間違いかもしれないけど…

 今、百合を感じたら、強くなる能力とかなんて言ってなかったよね…?」


(はい!確かに言いました!)


「やっぱり聞き間違いじゃないんかい!」


(えっ!?)


私は動揺しすぎて、つい大声で思わずツッコミを入れてしまった。


「あっごめんね…?いきなり大声出しちゃって…?

 ちょっと、いや、本気で驚いちゃったからさ…?」

 

(そっそうですよね!いきなり異世界に連れて来られて、驚かない方が無理がありますよね!)


「いやぁ…どっちかと言うとそっちより今の能力の話に驚いてるんだけど…」


(あっそっちでしたか。)


「どっどうして私の与えられた能力が「百合を感じたら強くなる」なの…?

 もしかして与えられる能力はランダムで選べないからとかそんな感じのパターンとか…?」


(あはは、何言ってるんですか!昨日、優梨さんが自分から…)


〜昨日の会話での優梨の言葉〜


『もし召喚されるなら!私、百合要素のある能力がほしいな〜!それで可愛い女の子達と恋愛フラグ立ってイチャイチャしちゃう的な〜!

 あっなんでそれがいいなって言うとね!私、百合漫画オタでそういうのに憧れてたんだ〜

 まぁでもこれ夢だろうからこんなお願いしても虚しいだけなんだろうけどね。』


(って優梨さんからお願いされたからそうしたんじゃないですか〜!あっそっか!昨日の会話、全て忘れてしまってるんですもんね!

 そりゃあ、わからなくて当然か、すみません…?)


「って自分から言ってるんかーい!」


(優梨さん!?)


「しかも平気で自分が百合漫画オタだって語ってるし…もう自分のバカ、バカ、バカァー!!ハァハァ…」


(落ち着いてください!?)


「まぁでもあの時の私は100%夢だと思って言ったんだろうから、なんとも言えないな…うっ〜でも恥ずかしい!!」


私はあまりの恥ずかしさに真っ赤になった顔を手で覆いながら喚き散らしていた。


(だっ大丈夫ですか…?私また何か余計な悩ませることでも言いましたか…?)


「ハハッ…君のせいじゃないよ、気にしないで…むしろ私が腹を立てて、ぶん殴りたいのは昨日の自分自身だから…ハハッ…」


私は昨日の自分に怒っても仕方ないと段々、馬鹿らしくなりながら答えた。


(相当、参ってるみたいですね…?)

  

「いちおう聞くけど私のいた世界に今すぐ帰りたいって言っても帰れるわけじゃないんでしょ…?」


(その通りです…帰れません…)


「でっですよね…でもさ、流石にもう二度と私の居た世界に帰れないってわけじゃないよね…?」


(安心してください!それはないです!

 優梨さんが元のいた世界にちゃんと戻る方法はありますから!)


「ふぅ…とりあえずよかった…それで戻る方法って何…?」


(はい!説明させていただきます!)

 

 「うっうん、お願いするよ…?なんかさっきよりテンション高くなったね…?」


(そりゃそうですよぉ!私の天命みたいなもんですから!)


 「そっそうですか…説明よろしくね…?」


(説明しますね!優梨さん、あなたが元の世界に戻るためにはこの世界である大事な使命を果たしていただかないといけないんです!)


「ゴクリッ…大事な使命…?それは…?」


私はガチガチに緊張しながら聞いた。


(そんなに畏まらなくていいんですよ!そんなに難しい事じゃないんですから!)


「そうなの?」


「はい!ただその世界の人々を殺戮したり奴隷にして苦しめる悪の頂点にして最強の魔王とその下僕である魔族達、それと手を結ぶ悪党達を倒してこの世界を救ってさえ頂ければ、無事、使命を果たされたことになって、優梨さんの居た世界に否が応でも自動的に送還されるようになってるんです!どうです?簡単な事でしょう?」


「・・・・・・・」


(ってあれ…?あのー!優梨さーん!)


「・・・・・・・」


(あれれっ?どうして固まってらっしゃるんですか?返事をしてくださーい!)


「はっ!一瞬、驚きのキャパを超えすぎて意識、飛んでたわ…聞き間違いかな…?さっき魔族や魔王を倒さないとどうとかこうとかって言ってなかった…?流石に冗談だよね…?てか、冗談であってほしいんだけど…」


(もう、冗談なわけないですよ!そもそもそれが私があなたをその世界に召喚した理由でもあるんですから!)


「あはは、本当に…?私からお願いしといてあれだけど、私の与えられた能力、殺伐とした戦いに絶対に不向きでしょ、間違いなく…魔王…?魔族…?

何その怖いラインナップ…」


「優梨さん?」


「勝てる気、全然しないよぉ!!百合で強くなる能力って何!?本当にこんな能力でそんなヤバそうな連中に勝てるの〜!?うわぁ〜ん、バカァ〜!本当に昨日の自分をぶん殴りたいよぉ〜!」


私は泣いて地面を叩きながら後悔した。


(泣かないでください!大丈夫ですよ!あなたが思ってるよりもあなたが持つ能力はすごいんですから!)


 「グスン…本当に…?その能力で私、強くなれる…?」


 (もちろんです!あなたが思ってる以上に百合パワーは最強なのです!!

 だからそんなに落ち込まないでください!)


 「そっか、そうだよね…落ち込んでいても状況は何も変わらないよね…ありがとう、励ましてくれて。」


(元気だしてくれましたか?)


「うん。私、やってみるよ。魔族だろうが、魔王だろうが関係ない。そんな奴ら倒して、世界を救って使命を果たしてみせる!そして何が何でも絶対に生きて、自分の世界に帰ってみせるんだから!」


(優梨さん、その意気です!一緒に頑張って強くなりましょう!そして異世界を救うんです!)


「やるぞ…」


(私も微力ながら常にテレパシーで会話して、あなたをフルサポートします!)


 「それは心強いね。そういえばまだ聞いてない事があるんだけど、あなたって結局、何者なの?

この世界の住人だと思ってたんだけどもしかして違うの?」


(あっ自己紹介がまだでしたね!昨日、教えてたのですっかり忘れてました!)


「また聞かせてもらってわるいね…?」


「いえいえ。オッホン、私の名前は天使アイルと申します。この次元の世界を担当し見守る守護7大天使の一人です。どうぞこれからよろしくお願いしますね。)


「ほぇ…?君、天使だったの…? というか守護7大天使って…?」


 私は天使?のアイルちゃんの言葉にただ戸惑うことしか出来なかった。



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