閑話 RSG


 ☆★☆★☆★



 「帰ったぞー」


 「お疲れさーん」


 人間大陸のとある国。そこは魔王襲来の被害にあった避難民が多く押し寄せてる国で、かなり多くの人間がごった返していた。


 惨劇だった魔王襲来からまもなく一年。現状はなんとか落ち着いていて、今は滅んだ国の土地の復興作業に盛んに行われている。


 「どうだ?」


 「瓦礫の撤去がまだまだ終わらねぇみたいだな」


 「ほとんど壊されちまってるみたいだからなぁ」


 魔王が襲来したほとんどの国は、国が完膚なきまでに破壊されている。復興作業をするにも、まずは瓦礫を撤去するので手一杯であった。


 「サマー様の国担当の奴らが羨ましいぜ。あそこは建物がほとんどそのまま残ってるからな」


 「その分別の仕事があるだろうよ。なんでも上層部がほとんど居なくなったのを良いことに政治に食い込むなんて話をしてたぞ」


 「こっちでも国を作るってか? なんでわざわざそんな面倒な事をするんだ?」


 「人間を裏切る勢力を作りたいんだとよ」


 「ふーん?」


 レトは人間達を更に混沌に導くべく、新たに策を打っていた。それは人間大陸に魔大陸に擦り寄る勢力を作る事。


 ただ軍で人間達を攻め滅ぼすのでは、少し面白くない。もっと人間達が慌てて右往左往してる様を高みの見物したいと、わがままを言ったのだ。


 そこで無茶振りされた眷属達や、国の中枢を担ってる者達が策を用意した。魔大陸に擦り寄る勢力を作ろうと。


 今回の魔王襲来の一件で、魔王の恐怖というのは身に沁みて実感した事だろう。大国の神聖王国や帝国なんかは、次なる襲来に備えて色々考えているはずだ。


 しかし、それは大国の考えであって、小国や中堅国家はそうではない。殺されない為に、国の存続の為に、魔王陣営の下に付く方が安全なんじゃないか? そう思わせて、人間大陸を混沌の泥沼に叩き込もうと言う訳だ。


 そして、都合良く一カ国だけ、ほとんど建物が残った状態で、上層部がほとんど居なくなった国がある。しかも、なんとその国は海に面してるじゃないか。なら、その国を筆頭に魔大陸勢力を作って遊ぼうとなった訳だ。


 幸い、今回の一件で『RSG』の人員が多数人間大陸入りしている。ここから情報操作をしつつ、魔大陸には魔王達が暮らしている国がある事や、この大陸とは比べ物にならないぐらい発展してる事、その他欲深い人間達が食いつきそうなネタを少しずつばら撒いていく予定だ。魔大陸を実際に見せる予定もある。


 そして、まずは頃合いを見計らって、筆頭の国に明確に魔大陸側に付くと喧伝して裏切らせる。こういうのは初めに裏切る国が最も勇気がいるのだ。


 ならその国はこっちで支配してる国にやらせれば良い。最初は人間大陸の人間達も半信半疑、いや一信九疑ぐらいだろう。


 だが、その国が魔大陸との交流で急激に発展していけばどうか。小国や中堅国家はその筆頭国に釣られるように、裏切っていくだろう。


 人間達が目先の欲を我慢できる訳がない。勿論、危険だと思う人間もいるだろうが、間違いなく少数だ。誰しもがお隣が豊かになっていくのに、自分達は貧乏というのは耐えられないのである。


 「国も色々考えるねぇ」


 『RSG』の人員として魔大陸から派遣されてる二人は、笑いながらそんな話をする。不用心に話をしているが、ここは『RSG』のアジトとして使っていて、防犯対策はバッチリである。


 「まあ、俺達は上から言われた仕事をやるだけだ」


 「そうだな。さっさと任期満了して国に帰りたいぜ。こっちは飯も不味いし、不衛生だし、ノックス魔帝国とは暮らしが雲泥の差だ」


 「その分高い給料をもらってるだろ。帰ったらしばらく休暇も貰えるし、向こうで遊びたい放題だ」

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