第6話 決断1
あれから無気質な日々が続いている。
なにも感じない。
これまで楽しみとしていた、
お酒、ゲーム、マンガ
に対しても欲求がなくなった。
「なんのために生きているんだろう」
「なんのために仕事をしないといけないんだろう」
「なんのために…なんのために」
自分の問いかけても、答えはみつからない。
はるかと会話しても…いや、
自分からはるかに話しかけることが徐々に少なくなった。
徐々に変わっていくゆうまの”変化”。
…
その変化にはるかも気がついていた。
あれから1ヶ月経つ。
相変わらず同棲はしている。
生活もしている。
会話もしている。
けど、昔とは違うなにかが二人のなかにある。
「ゆうま…今日のご飯どうする・・?」
「あっ…いつものように作るよ」
「そっか」
「うん」
「買い出しも行ってくるから休んでて」
「…そっか。ありがとう」
どことなく他人事のような空気。
もう、ここにいることが苦しくなるような感覚さえある。
「…もう終わりなのかもなぁ」
言いようのない気持ちから出た言葉がそれだった。
今のはるかの気落ちは分からない。
けど、昔のような元気なはるかはもう感じない。
はるかに気持ちを聞くのは怖い。
でも、なにか変えなければ自分が前に進めない。
そう思った。
「…ちょっと聞いてみるか。。」
カチャカチャ・・
今日の夕ご飯は特製のハンバーグ。
はるかも好きなおかずを作った。
美味しそうに食べているはるかの顔はウキウキしている。
すっと見るはるかの顔に微笑ましいと感じた。
けど、すぐに冷静になる自分も感じた。
「…」
「はるか・・・」
「…なに?」
こっちを見ずに答えるはるか。
「あのさ・・・お」
重い口を開きながらはるかを見る。
「…あっ」
はるかの顔は、僕がこの先の言葉を口に出したら泣いてしまう。
直感だがそう思った。
「あっ…ハンバーグおいしい?」
「うん、いつものようにおいしいよ。ありがとうね」
「よかった」
…
結局何も聞けなかった。
でも、はるかのあの顔。
僕がなにを話すかわかっていたと思う。
でも、言えなかった。
はるかに対しての気持ちがないことを気づいても、なお言い出せない。
親友によく言われたことを思い出す。
「お前さ、ほんと優しすぎ」
「もっと自分のこと考えろよ」
自分で笑ってしまう。
「はは…ほんとこんな自分が嫌になるよ」
でも。
…ちゃんと伝えなきゃ。
もう、僕の中にはるかがいない事を。
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