愛情

 今回は、タイトルにしては、あまり上品とは言えないかもしれないお話です。


 以前、私のおなかの毛に、一本だけ、太く、長く伸びていくものがあったんです。


 あまり体毛が濃い方ではありませんので、明らかに、他の毛とは違うのが分かります。


 まあ、たまたま、その毛が抜け忘れているだとか、栄養をぶんどっているだとか、そんなところだろうと思っていたのですが、ちょうど内科に行く予定があったので、一応、抜こうか、切ろうか、ろうか、とも考えていました。


 他の人から見たらどうかは分かりませんが、自分としては、一本だけ目立っているなあ、と感じていたので。


 ですが、ちょうど内科に行く直前に、その太くて長い毛が抜けたんです。


 あら、ちょうど良かった。


 ぶっといのが抜けて、なんだかスッキリ。


 無事に内科の用事も終えまして、毛の事案については、これで済んだのです。


 しかし。


 数週間ほどして、あれ? と思いまして。


 また、やけに主張の強い毛がおりませんかと。


 それも、このあいだ抜けた、太くて長い毛とほぼ同じ場所に。


 何度見ても、太く、長くなりつつある毛がおりよるのです。


 原因は、毛ではなく、毛穴にあったようです。


 私のお腹にあるのは、生えた毛を一生懸命に太く、長く育てる、愛情深い毛穴です。


 みなさん、どうぞよろしく。

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