　少し前の話になりますが、面倒臭がりかつケチな私は、スーパーマーケットの棚の中で、一番長持ちするトイレットペーパーを買いました。

　ひと巻きに、通常よりも長いペーパーが、ぎゅっと巻かれているものです。

　取り替えの手間が減るし、お得（とく）感もあります。

　それを買って帰って、使っていて、最初のうちは気が付きませんでした。

　でも、しばらくして、あれ？　と。

　なんか使いにくいな？　と、思ったんです。

　よく考えてみると、そのトイレットペーパー、太いんですね。

（あのスーパーの）トイレットペーパー界で、一番長持ちするやつですから、太くもなってしまうんですね。

　太いので、ペーパーを引き出す時に、残りの巻いてある部分が、後ろの壁に擦（こす）れるんです。

　その摩擦（まさつ）を凌駕（りょうが）する力で引っ張らなければならないので、大変ですし、ちぎれやすくもなります。

　加えて、ペーパーを引き出す度（たび）に、壁やトイレットペーパーホルダーに蓄積（ちくせき）した、ペーパーの細かなカスが舞い散ります。

　そして、ホルダーの下に下（さ）がっている予備（よび）入れに、予備が入らない。

　予備入れは布製（ぬのせい）で、そこだけに入れるのならば大丈夫なのですが、上のホルダーに、ぶっとい長持ちトイレットペーパーがあるので、それが邪魔（じゃま）で入りません。

　ホルダーにある方（ほう）が細くなれば、問題は解決するのですが、そのためだけに、わざわざトイレットペーパーを無駄に使うのも、本末転倒（ほんまつてんとう）です。

　今回は偶々（たまたま）、私の家のホルダーに合わなかっただけです。

　大事に、全部使わせていただきました。

　しかし、いい教訓（きょうくん）になりました。

　欲張（よくば）りはいけません。

　何事（なにごと）も、ほどほどに。

　トイレットペーパーは、私たちのおしり──しかも、排泄（はいせつ）直後の──を拭いてくださっているんです。

　それ以上、何を求めるというのでしょう。

　おしりを拭いてくださる上に、ほどほどに長持ちまでしていただける、なんてことがあれば、もう、トイレットペーパーで、おしりなんか拭けません。

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