思い出の場所

「出張で来たから」

と連絡をくれたYと最後にこの店で会った。


「結婚したの。」

と伝えると


「おめでとう。」

と。


彼の気持ちは最後までわからないまま、

お互いに大切な話を避けるように話し続けた。


あれから、度々この席に座る。でも、湯気の向こうにYはいない。


現実に戻る時間だと携帯の電子音が忠告している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る