背教者ユリアヌス
辻邦生氏の小説『背教者ユリアヌス』を読みました。伝統的なローマの信仰とキリスト教とのせめぎ合いが興味深かったです。キリスト教が公認されるまで300年弱の迫害されていた期間があるので、それで聖人や殉教者が多く出たのか? と思ったのですがそういうわけでもないみたいですね。
資料集から少し引用します。
しかし君たちは間違って使徒たちによって君たちに伝えられた教えに忠実でなく、さらにその教えは後継者たちによっていっそう悪く、いっそう不敬虔なように改悪された。ともかくパウロもマタイも、ルカもマルコもイエスを神ということを敢えてしなかった。しかし尊いヨハネはギリシアやイタリアの多くの都市の多数の住民がすでにその疾病に感染しているのを知っており、また私が思うにペテロとパウロの墓ですら拝まれていることを聞いて
(中略)
君たちは全世界を墳墓と記念碑で充たした。しかし君たちの聖書のいかなる箇所にも墓の間にひれ伏して拝めとは記されてはいない。君たちはまったく誤りに陥り、このことに関するナザレのイエスの言葉を聴く必要はないと思っている。そこで彼が記念碑についていった言葉を聴け「汝ら学者、パリサイ人、偽善者は禍なるかな。君たちは白く塗った墳墓のようだ。外観は美しく見えるが、内部は死人の首とすべての不潔に充ちている」と。イエスがそれら墳墓が不潔に充ちているといっている時、どうして君たちは墳墓で神に祈念するのか。
墳墓を拝むことについておかしいと言っているみたいですね。解説です。
ユリアヌス帝はコンスタンティヌス大帝の甥にあたる。背教者の烙印を押されたのは、彼がガリアで部下のローマ軍から皇帝に推戴され、異教への信仰を公にし、正帝となってからは、キリスト教への論争という形で迫害を開始したからである。この資料は皇帝としてより教養人としてのユリアヌスの一面がうかがえる。
解説は続きますが、誤植だと思われる箇所がいくつかあるので省略します。
キリスト教関係の資料は他にもあるのですが、異端についてとか教父哲学とかは省略するので、これで古代ローマを終りとさせていただきます。
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