第23話

過去編 季節 小学6年


 母親が再婚し、新しく義姉と義妹が出来た。


 「お兄ちゃん、二人とあんまり仲良くしないの?」


「うーん、してるつもりなんだけど、上手くいかないなぁ」


 でも新しい義父とは上手くいってる。


 「季節くん今日の学校はどうだった??」


「えっと、桜と遊んで授業は普通でした」


「そうか、よし、この後さ一緒にバレーボールやろうぜ」


「バレーボールですか??」


「そうだ」




「季節くんはいいよ」


「でも」


「作った人なんだから、皿洗うのくらいやるさ」


「いやでも」


「季節くんはご飯を美味しく作ってるんだ。これは俺の役目だ。なぁ」




「夏!!秋!!・・・春ちゃん・・・また勝手に季節くんの物を壊しただろ。」


「お父さん!!私はしてないよ!!」


 「うん、私もしてないです!」


「お兄ちゃん、私もしてないよ」


 「義父さん、3人はこうやって言ってますしその」


「季節くんは本当に優しいなぁ!でも悪いことはしっかり怒らないといけない。」


「だから私はやってない!!」


「やってないです!!」


「お兄ちゃん、本当だよ」


「そうやって誤魔化すと思って監視カメラを用意しておいた」


 そして義父はそれをバッチリ流してた。


 「あっ!」


「お姉ちゃん??」


「ごめん、お兄ちゃん」


「二人とも謝るまで許さないからなぁ。あと春ちゃんも残り二人もだけど謝るだけで済まないことだってあるんだからなぁ、きっちり他の何かしらの罰は受けて貰うぞ」



 「季節くん、俺は義父として一つアドバイスしたい」


「何ですか??」


「しっかりと自分の辛さをアピールすること」


「・・・」


「季節くんは誰か困ってる人を助けて良い気持ちになれたことはたくさんあるんじゃないか?」


「あります」


 義父は俺の頭に手を置く。 

「なら、それは君を助けたい人も同じなんだ。人の助けをよくする君ならこの言葉をすぐに理解出来るだろう」


 義父との会話の中で一番その会話が頭に残っている。


 お父さんの代わりにはなれないが、義父もそれをわかって、俺は義父と敬語で少しだけ距離感を置いて話をしている。そのお陰で、俺は義父と新しい家族の関係が築けていけると思った。


 そして築けたのだが、まさかお父さんと同じように人を庇って亡くなってしまうとは。

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