異世界化ってマジですか?

もやし

第1話

高校生ながら何の変哲もない日常に少し退屈を覚え始めていた少年、桜田天馬は学校から家までの道の途中にある商店街を歩いていた





「何だこれ?」




天馬が商店街で見つけたのはただのガチャ。


しかし、それには二度見してしまうような事が書いてあった。






「『人生が変わるチャンス! 自分の運に全てを賭けろ!』か」






普通ならこんなの見ても無視するだろう。


しかし天馬には興味を持つ理由があった。






「自分の運に……か」








天馬が日々を退屈に思っていた理由は"何でも上手くいってしまう"からだ。


それは天馬が天才だったとかそういう話ではない。


ただ単に運が良いのだ。


例えば天馬が意識せずとも天馬にとって最良の結果になる。


普通なら羨ましく思うのだが、天馬は産まれたときからそうであるため、なんとも思わない。


むしろ、皆が嫌がるであろう苦労をしたいと思っているのだ。


そんな天馬からすればこのガチャは、例え嘘だとしても興味を持ってしまうものだった。






期待を込めた眼差しで投入口に100円を入れて回す。




「金色?」




ガチャから出てきたのは普通のカプセルと同じ大きさの金色のカプセルだった。


手に取り開けた瞬間、周囲が真っ白になった。








「な、何だ!?」






摩訶不思議な出来事にプチパニックになる天馬。


そんな中、ある声が聞こえてくる。




『やっと出られたーーー!!何で誰も引いてくれないの!?可笑しんじゃない!?人生変えたくないのー!?』




頭の中に響くような不思議な声が聞こえてきて、慌てて見渡すと、さっき引いたカプセルから人が出てきた。


見た目的には、150センチあるかないかというような華奢な体に、夜を思い浮かべる暗い色の服。それと対象的なキレイな銀髪。数いるモデルの中に放り込んでも色褪せないであろう整った容姿。


何かを考える前に、気付いたら見惚れていた。






『おほん…やぁ!そこの君!『人生を変えるガチャ』を引いてくれてありがとう。単刀直入に言おう!君には人生を変えられる権利と、そこに付属する義務が与えられる!』






本当に人生を変えられるのか……?いや、これが夢っていう可能性も……






『ちなみに今起こっている出来事は夢なんかじゃないからね。』


「ッ!?」






心を読まれた?この子?は一体……




『そうだね。気になっているようだし自己紹介をしたほうが良いかな。』






……是非そうしてください。






『私の名は神久夜。日本に存在する八百万の神の頂点であり世界を作った四神の一人。つまり!君が考えているような子供ではないのだ!!』






あ、子供って思ってたこと根に持たれてる……




「えっと……ところで俺に与えられる義務ってどんなのですか?」




これが夢ではないことは…まぁ80%くらいは信用した。


そこで疑問に思うのが、『人生を変えられる権利』に付属してくる義務だ。


『人生を変えられる権利』は俺に限らず万人にとっても物凄く大きな権利だ。


それに付属してくる義務が気になるのは本能とも言えるだろう。






『あ、ちなみにこれは記録映像だから話しかけてもなにもないよ。』






嘘だろ!?じゃあ何でさっきまで会話が成立してたんだ!?


俺ってそんなに型にはまった行動してたか?


………ていうかこの場合の型って何だよ。






『で、さっきの質問だけど……』




え、待って!?絶対記録映像じゃないよね!?めっちゃ会話が成り立つ!?あ、鳥肌エグッ!








『義務に関しては気にしなくてもすぐに分かる。おそらく君なら私の思っている行動に出るだろう。』








記録映像がなんか言ってまーす。君ならって何だよ…






『じゃあ早速このガチャを回していこう!』






「え?」




神久夜がそう言い、指をパチンと鳴らすと本来の大きさの二倍以上はあるガチャガチャが現れた。








『君にはこのガチャを引いてもらう!ちなみに制限は無いしお金も取らない!好きなだけ回してくれ!それじゃあ君の幸せを願っているよ!ジュワッ!』






やめろ!その去り方は俺が怒られそうなやつだから!








そんなこんなでだだっ広い空間に一人残された俺。






「ボーッとしてても意味ないし、金を取られないんだったらいくらでも回そうじゃないか。」






通常の倍ぐらいの大きさのガチャ……通称”倍ガチャ"(即興)を回してみるとカプセルではなく薄い冊子が出てきた。






「なになに…『初心者必見!絶対損しない"倍ガチャ"の回し方!』」






……もしかしなくても神久夜の仕業だな。まぁこのガチャを持ってきたのは神久夜だし、確かに損はしたくない。ありがたく見させてもらおう。






その1、ステータスプレートと言う、もしくは空中に適当な四角を描くことで、自分の能力が可視化できる。


利点:ガチャの結果が目に見えてわかるようになる。




「???」






想像していたのとは違うことが書いてあり、思わず頭から?が溢れ出る。






「えっと……ステータスプレート?」




その瞬間、目の前に半透明の板?が出てきた。






名前:桜田天馬   レベル1


身体能力10 魔力10 精神力10 運10000 総合力10030




スキル及び固有スキルなし




称号


『人生を変えられる権利』の所有者 『世界を守る義務』の所有者










「これって俺の評価みたいなものか?いや、ならこの運の値はおかしくないか?身体能力には結構自信があるのにそれの1000倍って……」




正直これにはあまりプラスの思考ができない。








気を取り直して冊子の続きを見る。




その2、このガチャで出てくるのは現物ではなくスキル及び固有スキルであり、それらはステータスプレートによって確認することができる。




その3、ガチャで獲得したスキル等は現実世界に戻った後、然るべきときまでは使用ができない。






すっげー大切なことばっか書いてある……けど肝心の損しない回し方を俺はまだ見てないぞ!まさかタイトル詐欺か!?




その4、このガチャには10連機能があり、そちらを回したほうがオマケで1回増えたり、時間的にもお得だったりする。




最後にちゃんと説明あった!?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る