詩集:試作
柚月 智詩
くらげ
夏の浜辺に くらげがひとつ
くたびれぼうずで うちあげられた
それをそうっと すくいあげて
返す波へと もどしてやった
くらげは ついぞ見えなくなった
海にたゆたい 海へと消えた
お前は今 どうしているか
お前は今 生きているのか
わたしはお前を 見ることができぬ
透けるからだは 海へと溶けゆく
お前はわたしを 見ることができぬ
丸いからだは 眼(まなこ)を持たぬ
見えぬものは そこにあるのか
あるものは そこに見えるのか
見えぬものは そこに生きているのか
生きているものは そこに見えるのか
くらげは ついぞ見えなくなった
けれどもお前は 確かに生きる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます