第10話被疑者は5人組

温泉高校は有馬口駅を下車後、徒歩5分で登校できる近さにある。

野球部は十数年前に創設され、夏の県大会には決勝まで行くが、惜しくもノーヒットノーランで、一点差に泣いた。

相手校は箕谷高校のエース中西晃だった。

温泉高校の野球部メンバーは退学スレスレのやんちゃな生徒ばかりで、男子校ならではの喧嘩自慢の男子生徒ばかりだった。

県営の斎場は静謐な佇まいの中にある。

「あの黒い煙は晃の何処かが焼けて・・・。」目頭を押さえる晃の母綾乃・・・。

奈々子ら三人が傍らに付いていた。

遠くから耳朶を打ったのは数人の厳つい黒服の県警捜査員の靴音だった。

音のする方を諾々と見たが、深雪だけは直ぐそっぽを向いて明後日の方を観た。

深雪の憧れだった県警の捜査員が事件直後に在校生に対してぞんざいな扱い方をしたからだった。

「あんなに白バイ警官に為りたかったのにどうしてなの深雪?」

八代が心配して聞いたが、「べえつに、そいつらに聞いてみな。」

顔を背けて理由を言ったが、八代にとっては謎だった。

「せっかく心配してあげているのに!」と、言えば「別に心配してくれなくていいよ。

八代は自分の進路の心配でもしてれば?」と、言われて侵害だったが、友情を誓い合った仲間だもの「あんたバカ?友情があるから心配しているのこっちは!また殴り合いする?」


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