不遇のエース、金木犀の咲く頃
しおとれもん
第1話キラー・オブ・ザフォーチューン
「金木犀の咲くころ」
箕谷高校2年1組四時限の休み時間。
「腹へったわ~。ちょっと弁当を半分頂戴よアンナ!?」中西晃(なかにしあきら)と穴堀菜々子(あなほりななこ)は恋人同士だった。
菜々子のアメリカンバッグに詰め込まれた教科書とノートを掘り起こし、やっと出てきた楕円形の小さな弁当箱をそのまま渡した「全部良いよ?」
「ありがたい、いただきます。」片手に奈々子の弁当箱を持ちごま塩の振りかけてある飯に箸を立てて、次どの辺りか、ウインナーか、玉子焼きか、エビフライか狙いを定めていた。あっという間に奈々子の弁当を平らげた晃は、にこやかに礼を言って教室外へ立ち去った。学食前の自販機でお茶を買う為だった。
「晃くんお昼に菜々子と食堂行くんだけど、ナニかチュロスでも買ってあげようか?」なるほどな!そういう事だったのか!?
菜々子が弁当を全部良いよなんて何か理由が有るって思ってた!
「チュロスお願い!菜々子に言っといて?菜々子の弁当が小さくて足りなかったって。」
「菜々子菜々子とか言っちゃって焼けるねえ!仲西先輩!?」晃の周囲には生徒のかげや先ほど声を掛けた菜々子の友人までも足早に去っていた。丸坊主に耳の上から刈り上げて後頭部も刈り上げ!揉み上げまでも刈り上げ!だった。
他校生?見ない顔。
四、五人居る!
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