麒麟
振り向いたら影の音、お日さまは西からのぼる。切実な静けさを断ち切るために麒麟が鳴いた。かの国はいつから朝焼けを拒む様になったのか、何処にでもいけると飛び出した靴紐に足をとられてしまったのか。春色の街、赤い煉瓦の道、玉虫色の詩、夏の匂い。左手の薬指の約束を君は忘れてしまったみたい。
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