第14話 ざまあヒロインとSNS炎上Ⅱ
どうせボッチメシしてるであろう、内木に誘いをかけてやった。
フ……!
私もありがたく内木を頂戴する!!
すると、
「アッハッ♡
内めろそれヤバすぎでしょ!!!!?
アハハハハハハハハハハハ!!!!」
耳障りな女の笑い声が聞こえてくる。
ハッとして窓際の席を見れば、内木がモソモソとお握りを食べていた。
そのすぐ隣に座って騒いでいるのは、ゆ……雪村!?!?!?
「な……なんでアンタがいんのよ!?」
思わず私は聞いてしまった。
すると雪村がこっちを向く。
「え!?
あ、鎌っぺだ!
おはよ!
鎌っぺもこっち来る!?
一緒に話そ!!」
雪村が両手を振って私に昼食の誘いをかけてくる。
よく見ると、机の上には食べかけの弁当が2つ置いてある。
恐らく明星院と小金井のものだろう。
2人は席を外しているらしい。
なんで!?
私の計画では、即日退学はムリでも自宅謹慎くらい喰らっててもおかしくないのに!?
そこまで考えたところで、肝心の事を思い出す。
しまった!?
今朝急いでたから、SNS確認してなかった!?
投稿した奴どうなってる!?
慌てて確認する。
いくら検索しても、それらしい呟きはない。
私の裏垢も、リツイートはもちろんいいねすら付いていなかった。
全くの無反応だ。
いちおう雪村の名前でネット検索も掛けてみたが、それらしき記事や呟きは一切ない。
明星院や小金井も同様だった。
まったく炎上してない。
お……!
おいいいいいい!?
有名人のスキャンダルなんだぞ!?
1人くらいは食いつくだろ!!
アイツらにだって、アンチぐらい居るはずなのに!!
そこまで考えたところで、一つの仮説が浮かぶ。
ひょっとして、私のアカウント怪しいとか思われてる!?
それで皆ウソだと見抜いたとか!?
いやでもそんなはずは……!
だって、ネットの人間なんて全員バカに決まってるし……!
そう思って何度も確認するが、やっぱり炎上はしてない。
こればかりは事実として認識せざるを得なかった。
私の計画は失敗したのだ。
クッソォオオオオオオオ!?
なんでいつも私ばかり上手くいかないのよオオオオオオオ!!??
なんて私が嘆いていると、
「てゆーか内ぽよピーナッツチョコ1箱食べたことあるんでしょ!?」
雪村がからかい口調で内木に言った。
は?
別に1箱くらい普通じゃない。
私だってお前らのせいでムカついた時には時々……いや1万年に1回くらいはドカ食いするし。
「う、うん……マンガ描きながらよく食べてるんだけど……締め切り前とか何袋も開けちゃって……気付いたら空になってて……」
内木はボソボソ声で答える。
「1箱って何袋入ってんの!?」
「…………………市販の奴が20個……128グラム入りの奴……」
1箱って段ボールかよ!?
「アッハッ♡
ドカ食いじゃん!
内めろマジウケんね!?
ってか話聞いてたらアタシもピーナッツチョコ食べたくなってきた!
そしたら週末ここのお店行かない!?
ここのパフェ、ピーナッツチョコめっちゃデコっててマジ神ってんの!
もーテンション爆上げっていうか!!!」
雪村がスマホ画面を内木に見せながら言った。
たぶんインスタか何かの写真だろう。
とても美味しそうなパフェがデカデカと載っている。
「おお……。
ちょっと美味しそうだね……!」
内木が即座に反応した。
珍しく目が輝いている。
「でしょでしょ!?
早速行こ!」
「うん……まあ、ちょっとぐらいならいいかな……?」
雪村の誘いに内木が頷く。
2人きりってそれデートじゃないの!?
「ず、ずるいぞ雪村!
私も真人とパフェ食べに行きたい……!」
「わ、私もご一緒したいです……!」
席に戻ってきた明星院と小金井が言った。
雪村はギャルピ(腕を前につき出す逆さピース)で応える。
「おい……! 内木の奴……!?」
「雪村さんとデートってマジかよ……!?」
「あの明星院さんと小金井さんが嫉妬してんぞ……!?」
「俺もあの3人囲いてえ……ッ!!!」
モブ男子どもが血の涙を流している。
それは私も同じだった。
私ですら一度も内木とデート行けたことないのにイイイイイイ!!!
くそ!!
当日絶対邪魔してやる!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます