第147話 巨人の祭具

 巨人のダンジョンは、神殿フィールドに突入した。

 ギリシャ神殿とどっちがでかいだろうか。


【神殿か】

【お宝がありそう】

【また勇者プレイが見られるのか】


 出て来た巨人はローブのような服を纏ってる。

 神官だな。


 プリーストジャイアントと呼ぼう。


「さてプリーストジャイアントはどんな攻撃してくるのかな」


 弥衣やえがバリスタを発射。

 矢は空中で止まって落ちた。

 一瞬バリアみたいな物が見えた。


【結界魔法の類だな。防御魔法かも知れんが】

【こういうのは力技で通るものだ。CGの連打があれば突破は容易い】

【そういう攻撃が一番なのか】


 弥衣やえがモノポール爆弾を投げる。

 爆発は結界に防がれた。


 綺羅々きららが斬り掛かり、シロガネが牙を立てようと飛びつくが、結界に阻まれた。

 そして、四角い炎の塊がプリーストジャイアントから発射された。


 みんな避ける。


【やっぱり結界だな。さっきのは結界の内部で炎を発生させたのだろう】

【チートくさい能力だ】

【結界に取り込まれると、そこは相手のフィールドだ。嫌らしい敵だな】


 うん、連打したくてうずうずする。

 弥衣やえはどうするかな。

 と思ったら冷静にモチとキナコに指示してる。

 そしてバリスタを発射。

 今度の矢は結界を貫通した。

 ああ、グラトニーマテリアルの矢じりね。

 あれは魔法も消し去る。


 プリーストジャイアントは倒れた。

 落ち着いて対処すればわけないのだな。


綺羅々きららがちょっと手持ちブタさんだ」


【手持ち無沙汰ね。ぶたさと間違え易い】

【分かって言っていると思う】


「えっ、そうなん」


【分かってなかったらしい】


綺羅々きらら、グラトニーソードよ」


 弥衣やえがアイテム鞄から、黒い刀身の剣を取り出して、綺羅々きららに渡した。

 シロガネがくぅんと鳴いた。

 シロガネのグラトニーファングとか作れるかな。

 武器工房のおっちゃんに頼んでみよう。


【神聖な巨人の神殿を荒らすとは何事です】

【いや、巨人は敵だから】


 俺達がプリーストジャイアントを進むと祭具が飾ってあった。

 それは全て人間のドクロで出来ている。


「見ろよ。これが巨人の本性だ」


【首狩り族だって、干し首をぶら下げたじゃないですか。彼らも未開だというだけのことです】

【これは擁護できんな】


 俺はドクロの中に、コボルトとケットシーの物を見つけた。

 頭に血が登る。

 巨人許さん。

 絶対にこのダンジョンを攻略する。

 祭具は全てアイテム鞄に入れた。

 後で丁重に葬ろう。


 神殿を抜けると城が見えた。

 今日はここまでにしておこう。

 いや、このけった糞悪い神殿を破壊しなきゃ気が治まらん。


 弥衣やえにカメラを渡してアダマン鉄パイプを手にふり返る。

 そして連打し始めた。

 ヒャッハー。

 こんな汚物は藻屑となれ。


 そして、全てを破壊した。

 再びカメラを装着する。


「解体屋に来てもらいました」


【早い仕事だな】

【まあ、法律とか近隣住民の文句が出ない案件だからな。すぐに壊せるのだろう】

【そうかな。それにしても早いような】

【貴重な文化財に何をするのです】


「あんな神殿は要らない」


【そうだな。人間の骸骨から作った祭具とか使っている時点でアウトだ】

【今回はおっさんの支持をするよ】

【配信見てる大勢もそう思っている】


「俺は悪だから神は怖くない。神聖な物を壊してやったぜ」


【うん、悪事だ。おっさんは素晴らしい悪党】

【だな。文化財なんか糞喰らえだ】

【すっきりした終わり方だった】


 俺はダンジョンを出ると、祭具を展示して巨人の悪行を訴えた。

 そしてお経を唱える専門の坊さんを30人ほど呼んで、お経を唱えさせた。

 ダンジョンの脇の空き地を買い取ってそこに埋葬。

 石屋に塚を建てるように頼んだ。


【埋葬してやるのは優しいな】

【俺だったら金までは出せないな】

【世論が動くかもな】

【祭具の写真は撮って保存した】

【後世まで語り継ごう】


「巨人を守る会に宣戦布告する。ぶっ潰す」


【おう、おっさんが本気になった】

【あれを見るとそう思うよ】

【巨人を守る会を非難しようぜ】

【俺もアンチコメント書き込んだ】


 死骸を冒涜する奴は許さん。

 俺はモンスターの死骸だって有効利用してる。

 遊びで殺したことはない。

 祭具にするなんてもってのほかだ。

 そんなのは文化だと認めん。

 巨人を守る会のアンチキャンペーンを始めよう。

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