第36話 万年亀のマンネン

亀の聖獣がいる洞窟の奧へと進むレイ達は、一番奥の部屋に金と銀の甲羅を持っている亀を見つけた。


「あれば万年亀かな?」


「うむ。あれが聖獣であればこちらの言葉がわかるはずだ。」


なるほど。確かにエンキの言う通りだ。まあ今までに見た事ない色してるし大きさも他の亀の倍ぐらい大きい。まちがいなくあれが万年亀だろうな。


「万年亀よ。俺の名前はレイ。お前の力を借りたくてここに来た。貴方が万年亀でまちがいないか。」


目の前の亀は俺の声に反応したのか。ぐるっと向きを変えた。といっても動きはすごく遅い・・・俺の方に向くだけでも5分程かかった。


「たしかに・・・儂が・・・万年亀・・・じゃ・・・。・・・お主達は・・・何者・・・じゃ?」


「俺は聖獣マスターでレイという。世界の危機を救う為、力を貸してほしい。」


「なるほど・・・聖獣・・・マスター・・・か・・・。・・・たしかに・・・お主・・・からは・・・何か・・・の・・・つながり・・・を・・・感じる・・・のぉ。」


行動と同じように会話のスピードもすごく遅い。普通に話す倍以上に時間がかかっていた。だがここで短気になってはいけない。レイはゆっくりと深呼吸して根気強く万年亀と会話した。


その結果・・・


「儂も・・・長い事・・・ここに・・・いる・・・外の・・・世界を・・・見るのも・・・良いかも・・・しれんな・・・。・・・」


「ありがとう。」


無事に万年亀と契約する事ができたのだった。ただ、これだけの話をするのに、とても時間が掛ったのは言うまでもない。亀と戦ってる方がよっぽど楽だとレイは思っていた。


ふぅー。無事に契約できそうだな。洞窟内の亀を倒した事を聞こうを思ったけど、そんな事聞いたら又1時間会話に付き合わないといけないから。無駄な話はしない事にしよう。


「儂の名はマンネン。聖獣マンネンじゃ。」


「えっ!?」


あれ?自分の名前を呼ぶ時だけ、普通に話してたぞ?まさか・・・


「マンネン。もしかして普通に話せるのか?」


「もちろんじゃ。まあゆっくり話す方が楽ではあるがのぉ。」


普通に話せるのかよ!?ならさっきまでの時間はなんだったんだよ!ちょっとイライラしてしまったじゃんか。


「ならそれで頼む。それよりもマンネンと契約したらどんな力が得られるんだ?」


「儂の能力は絶対防御じゃ。どのような攻撃も無効にできるぞ。」


「本当か!?それはすごいな。」


まじか!?絶対防御。めっちゃ強いじゃん。これがあれば一方的に攻撃しまくれるって事だろ?無敵じゃん。


「うむ。」


「それはどれぐらいの時間使えるんだ?」


「10分程じゃ。」


「10分か。まあ10分も無敵時間があればほとんどの敵を倒す事ができるか。それに魔王戦でも無敵時間が使えればかなり戦いが楽になるな。」


「レイよ。そんな都合の良いスキルではないと思うぞ。」


「ミスト?どういう事だ?」


「それはマンネンに聞いてみるがよい。」


ん?ミストはマンネンのスキルを知ってるのか?


「マンネン?絶対防御だけど10分間無敵になれるって事だよな?」


「そうじゃな。先ほどお主が言っておったように無敵ではあるが、敵を倒す事は出来ぬぞ。」


「どういう事だ?」


「無敵ではあるが、その時間中は全く動く事は出来ぬからのぉ。」


「はっ???」


「じゃから儂のスキルは絶対防御じゃと言うたであろう。絶対に攻撃を受けないスキルじゃ。」


なるほど・・・そういう事か。ミストが言ってた意味がわかった。魔法でもあるんだな。こう全身を鋼鉄にして魔法をはじくような魔法が。あったなそういうの。絶対絶命の時に仲間にかけて仲間を守る魔法が・・・


いやでもこのスキルって俺しか使えないよな?マリーに使う事ができないって事は、絶対絶命のピンチの時に俺だけスキルを使って攻撃を防ぐって事か?げっ!!それじゃ全く使えないじゃん。


使ってる10分間攻撃は効かないけど、攻撃され放題って事じゃん。えっ!?このスキルって意味あるのか?


「マンネン・・・このスキルって・・・役に立つのか?」


「・・・」


やっぱり!!何も言わないって事はマンネンもこのスキルの事をよくわかってるんだな。はー・・・使う機会はなさそうだな・・・


「わかった。まあいつ使う機会があるかわからないもんな。ありがとうマンネン。」


「うむ。そう言ってもらえると儂もたすかるのぉ。」


まあマンネンと契約した事で俺の能力は更に5割増えるんだから、その点だけでも良しとするか。マンネンは動きが遅そうだから一緒に行動するのは難しいっぽいから亜空間にいてもらうとして・・・あっ!普通に話せるならここの洞窟の事聞いておくか。


「なあマンネン。俺達この洞窟に出てくる亀の魔物を倒しまくったんだけど、お前的には同族になるだろ?倒してもよかったのか?」


「大丈夫じゃ。同族と言っても聖獣と魔物は違うのじゃ。それにどれ程倒してもこの洞窟の効果ですぐに蘇るのじゃ。」


「そうなのか・・・あっそう言えば俺達ここでレベル上げしようと思ってるんだけどここの魔物ってレベルどれぐらいなのかわかるか?」


「もちろんじゃ。ここの亀達はだいたいレベル80~120じゃな。」


「えっ!?レベル100を越える魔物もいるのか?」


「知らなかったのかレイよ。魔物はレベル上限は150じゃぞ?妾の城にいる魔物達は100じゃったがな。」


「そうなのか・・・知らなかったよ。」


まじか~。それでもレベル100を越える魔物がここにもいるって事は、ここなら効率よくレベルを上げる事ができるって事だな。よしそうと決まれば・・・


無事に聖獣マンネンと契約したレイは、更なる力を手に入れる為に亀島でレベリングする事を決めるのだった。




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