第32話 ファンドラ王への報告と可能性
『ミュラ王女聞こえますか?』
「!?この声は?」
『ミュラ王女。俺です。レイです。今、遠話という魔法で話掛けてます。声を出さずとも遠くの人と会話ができる魔法です。心の中で話してくれれば大丈夫です。』
『こうですか?レイ聞こえますか?』
『聞こえます。大丈夫です。それでミュラ王女。俺達ファンドラに着いたんですけど、そちらの状況はどうですか?あっ今会話は大丈夫でしたか?』
『はい。大丈夫です。丁度部屋に居ましたので、先ほどビックリして声が出てしまいましたが、今は大丈夫です。ファンドラに戻ってきたんですね。おかえりなさい。お父様との約束の件ですね。まだ3日程期日はありましたが大丈夫なんですか?』
『よく覚えてますね。まあ可能性が示せると思ったので戻ってきたんですが、ボルテックス達は戻ってきてますよね?鉢合わせたら困るんでミュラ王女にその辺を聞こうと思って遠魔をつかったんだ。』
『そうなのですね。ええ勇者達は魔王城を見つけて戻ってきましたわ。その辺の説明もしたいわ。でも先にお父様との約束ですね。わかりました。会える時を聞いてきますね。どうやってレイに伝えれば良いですか?』
『そうだね。じゃあ夜に又遠話するからその時に教えてくれるかな?』
『わかりましたわ。』
『そういや聖獣や神獣様達の情報はどうだった?』
『それも会った時にお伝えします。』
『そっか。うんわかった。』
遠話の魔法か・・・便利だな。これがあれば移動する必要がないもんな。まあ俺の場合転移魔法があるから今更って感じではあるけど。
そんな事を考えていると・・・
「ミュラとは話できたの?」
「ああ。夜に又、遠話する事になってる。その時までに王様に予定を聞いといてくれるって。」
「それならよかったわ。これで一安心。と言いたい所だけど、王様との約束はどうするの?エンキを見せるだけ?それだけじゃ納得しないと思うけど・・・」
「その点は考えてるよ。エンキとダンジョン攻略と転移魔法、収納魔法を伝えようと思ってる。後は向こうが力を調べるのに誰か用意してくれるとわかりやすいんだけど・・・」
「そうね。直接戦闘する方がわかりやすいわね。でも謁見の間なら難しいんじゃない?別の場所で模擬戦するにしても騒ぎが大きくなったら困るし。」
(だよな~。ダンジョン攻略の証明で俺の強さを伝える事ができる。エンキと転移魔法、収納魔法は俺の攻撃手段の多様性の証明になる。これでわかってくれればいいけどな。)
色々と王様と会った時の事を話し合い、ミュラとの遠話を経て、早速明日、王様と会える事になった。
そして翌日・・・
「久しいのレイドール。いや今はもうレイだったな。ミュラから聞いておる。儂との約束の成果を今日は見せてくれるのだな。」
「はい。早速ここで披露しますか?」
「うむ。ここにいるのは儂とミュラだけじゃからな。」
「わかりました。」
「レイ。がんばって。」
「ではまずこちらをご覧ください。これは、東の大陸にあるキュービダンジョンの地下60階のボスであるヒュドラのドロップ品になります。本物かどうかは調べてもらえばわかると思うので、ドロップ品は王様に献上致します。」
「う、うむ。いきなりしでかしたなレイよ。まずそのドロップ品を今どこからだしたのだ?それにキュービダンジョンじゃと?行って帰ってくるだけで2か月なんて期間は経つだろ?」
「はい。王様には俺の中にファーラミスト、魔王がいる事は話したと思います。ミストが俺と同化してから俺はあらゆる魔法が使えるようになりました。」
「あらゆるだと?」
「はい。攻撃魔法から回復魔法、それに・・・収納魔法や転移魔法も使えます。先ほどドロップ品を出したのは収納魔法です。そしてキュービダンジョンですが、それは転移魔法を使って時間を短縮しました。今の俺だとキュービの町なら一瞬で移動できます。」
「それは誠か!?そんな事が・・・」
「はい。事実です。」
「わかった。レイよ。それだけで十分だ。お主の可能性は十分わかった。」
「えっ・・・これだけでいいんですか?」
「ああ。十分だ。だけどな、この前勇者が戻って来たんじゃが、魔王討伐にかなり意欲的じゃったぞ。正直な話、魔王を倒して平和な世界にしてくれるなら、お主でも勇者でもどちらでも良いのじゃ。それに勇者の話じゃ魔王も楽に倒せると言っておったぞ。」
「ミスト。ボルテックス達は魔王を倒せると思うか?」
「無理じゃな。」
「即答だな。間違いないか?アイツらレベルカンストで勇者の職業だから言いたくないけどけっこう強いぞ?」
「わかっておる。直接戦ったからのぉ。じゃがアルフェンには勝てぬじゃろう。魔王の頃の妾のレベルがだいたい200ぐらいじゃ。今のレイ、妾、勇者が丁度同じぐらいの力だと言えばわかりやすいかのぉ。」
「ああ。たしかにわかりやすい。なら今の俺がアルフェンと戦ったら勝てるか?」
「無理じゃな。」
「やっぱりか。」
「うむ。せめて妾を倒した時ぐらいには力がないと無理じゃろうな。」
(そうか・・・ミストの話を信じるならボルテックス達が魔王を倒しに行っても返り討ちに合うだけ。その間にアルフェンに勝てるだけの力を付ければボルテックスよりも先にアルフェンを倒す事ができるな。)
「わかりました王様。後は見ていてください。必ず勇者よりも先に魔王アルフェンを倒して見せます。その時は全てが変わっているでしょう。」
「うむ。お主達には期待しておる。ミュラもレイを好いておるみたいだしな。」
そう言って、レイ達は王の間を後にした。聖獣達を紹介する事なく王の試験に合格したのだが、勇者の不穏な態度に一抹の不安を抱くレイであった。
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