ゲームの世界に転生したら、バットエンドの後だった!?バットエンドをハッピーエンドにする為に、俺は魔王と手を組むぜ!

ベルピー

第1話 どうしてこうなった?

「それにしても仲間を殺そうとするなど、人族は訳がわからんな。」


「ああ、そうだな・・・」


俺は今、魔王城の最奥の間にいた。一人で。


俺はいつものように家でゲームをしていたが、気がついたら知らない場所にいた。


なんだ?夢か?とも思ったが、すぐにこれは異世界転生だと分かった。


異世界転生!?マジ!?と驚くのが普通かもしれないが、俺はそういう事もあるだろうと常々思っていたから割と普通に受け入れる事ができた。


・・・


いや嘘だ。めっちゃ動揺して、しばらく動けなかった。


気がついたら血まみれで倒れていて、頭の中から別の人の声がするんだ。動揺しない方がおかしいだろ。


この頭の中から聞こえてくる声のおかげで、俺は現状を知る事ができた。


なんと、その声の主はファーラミストと言う名前の魔王だった。


魔王の名前がファーラミストで、俺の名前がレイドールで、魔王城で血まみれ、とくれば、もはや答えが出るのは早かった。


さっきまでプレイしてたゲームの世界だ。と。


冷静になった俺は一先ず、頭の中に聞こえるファーラミストに状況を確認した。


俺が知っているのは、魔王ファーラミストを倒して歓喜している所に仲間達から力を奪われて、レイドールが倒れた所までだ。


ファーラミストの話によると、力を奪った仲間達は、レイドールとファーラミストを残して意気揚々と引き上げていったらしい。


そして、ファーラミストは残った力を全て使って俺を生き返らせてくれたらしい。マジで感謝だ。


転生して、即死亡とかシャレにならないし、ファーラミストさん。ありがとう。頭の中に声が聞こえる。気持ち悪いとか思ってごめんなさい。


「レイドールの意志をついで復讐するか?」


「意志を継いで・・・!?」


「なんじゃ?妾が気づいていないとでも思ったか?正直妾だけではレイドールは助けられなかったじゃろう。そこに運よく別の魂がレイドールと融合したから助ける事ができたのじゃ。」


「そういう事か・・・ファーラミストさんは復讐したいのか?」


「いや。妾はもう死んだ身じゃ。それに、妾は元々殺生は好かん。」


魔王なのに殺生が好きじゃない?ってどういう事?まあ見た目がイカつい男キャラじゃなくて、のじゃロリよろしくの幼女体型だからなのかもしれないが・・・


「そうなのか?意外だな。俺の方は、とりあえずバットエンドは好きじゃないからハッピーエンドにはしたいな。」


「ハッピーエンドとな?なんの事からよくわからぬが、あやつらはお主の力を奪って言ったぞ?そんなすぐにハッピーエンドとやらにはできるのか?」


俺はファーラミストに言われ、自分のステータスを確認した。


名前:レイドール

職業:聖獣マスター

称号:英雄


レベル1

HP:10

MP:10

力:10

魔力:10

体力:10

敏捷:10

器用:10

運:10


表示されたステータスは、ゲームを始める時の初期ステータスだった。見事に10が並んでいた。


「なっ!?」


「見事に10が並んでおるのぉ。クソ雑魚ナメクジではないか。」


どういう事だ?力を奪われたって言うから聖獣の力が無くなったんだと思ってたけど、レベルも1になってるだと・・・


ここが俺がさっきまでプレイしていたゲーム世界なら、レベルはカンストの100まで上げてたはずだ。それが1って。


いやいや強くてニューゲームならわかるけど、初期からスタートって、もはやデータが削除されたのと変わらないじゃん!!


「・・・」


「その〜なんじゃ。あまり気を落とすな。生きてるだけでもありがたいじゃろ?」


「・・・それもそうだな。とりあえずこのレベルでここはやばい。移動するか・・・」


俺が今いる場所はラストダンジョンの魔王城だ。出てくる魔物もレベル80オーバーばかりだ。出会った瞬間、即死の未来しか見えない。


「あの者達が使った転移ゲートを使うのじゃな。でも大丈夫か?移動した先にあの者達がいるかもしれんぞ?」


「どこに移動するのかはわからないけど、ここよりはマシだろ?顔を隠しておけばなんとかなるだろ。」


「そうじゃな。それに髪の色も変わってるから一目でお主だとわからんじゃろ?」


「髪の色?」


「気づいておらんかったか?お主は我と戦っていた時は黒髪じゃったが、今は真っ白になっているぞ。」


「はっ!?」


鏡がないから自分の姿は確認できないが、髪を手でつまんで見てみると確かに白くなっていた。


「まあ多分、復活した影響じゃろ。まあ妾はお主の中から出れぬから一緒について行くぞ。妾の事はミストとでも呼んでくれ。」


「・・・ああ。俺は・・・レイだな。レイと呼んでくれ。とりあえずここじゃ安心できない。一先ず移動しよう。」


そうして、魔王城で一人ブツブツと、自己完結したレイは、転移ゲートに足を踏み入れるのだった。


バットエンドを迎えてはずのゲームの中で、レイとミストは新たなる冒険を始めるのだった。








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